巨人戸郷翔征投手(21)が、今季初勝利をもぎ取った。昨季の王者ヤクルトとの3連戦初戦を託された右腕は、粘りの7回6安打2失点でチームを勝利に導いた。好調の打線を相手に10個の三振を積み上げ、114球の力投。2月のキャンプ後は状態が上がらず、2軍暮らしが続いたが、本番に間に合わせた先発ローテ陣の若手筆頭株が、白星発進した。

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戸郷が“天敵”を相手にギアを上げた。1回1死一塁、ヤクルト村上から148キロ内角直球で見逃し三振を奪った。第2打席も空振り三振とすると、6回2死の第3打席はスライダー、直球、フォークの3球で空振り三振。昨季打率5割、1本塁打と相性の悪かったMVPスラッガーから3打席連続三振を奪っての今季初勝利を「去年あれだけ打たれた。コースもきっちりいかないと打たれますし、そこの意識も強かった。でも楽しかったです」とかみしめた。

今春のキャンプでは実戦の結果が振るわず、帰京後すぐに2軍降格となった。開幕ローテ入りから遠ざかり「結果が出なくて悩んだときがあった」というが、それが自らを奮い立たせた。小さくまとまるのは自分らしくない。力で押すダイナミックなフォームに回帰した。「勢いを取り戻そうと取り組んできた。思いきって投げようと意識してから、真っすぐも行き始めて、変化球も効き始めた」と吹っ切れた。

2軍降格を経てすべり込んだ開幕ローテで躍動。昨季王者とのカード初戦で毎回の10奪三振、114球の粘投で勝利をたぐり寄せた。21歳ながら、若手投手がひしめく投手陣に「良い危機感、良い向上心を持てている」。将来のエース候補が、不屈の精神で投手陣を引っ張る。【小早川宗一郎】