日本ハムのドラフト1位、達孝太投手(18)は事もなげに言った。「緊張とかは全くなく、1つのスタートとして、ここからの野球人生の通過点だと思うので、そこはしっかり抑えるという気持ちでいきました」。8回に訪れた、実戦デビューのマウンド。1四球を与えながらも安打は許さずに無失点。“しっかり抑える”という気持ちを体現し、節目の登板も“通過点”にしてみせた。

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先頭打者に四球を与えたが、4球目に自己最速を1キロ更新する150キロをマークした。試合では未知の球速にも一喜一憂はしない。「それぐらいかなと思ってました。今の状態的に、それぐらいかなと。(球速は)特に意識してなかった。春先、今日の状態だったら150ぐらいかなと思ってたので、別にびっくりもしなかったですね」。自らを客観視できる高卒1年目右腕は淡々と答えた。

「今年の目標は体をつくること」と定め、まずは1月の新人合同自主トレから増量に着手した。88キロから、現在は筋肉量を増加させながら94キロへアップ。「今、キープに入っている。ちょっと瞬発力が若干落ちてるかなと思うので、瞬発系のメニューに今は移行しながら体を大きく、ということをやってますね。ジャンプとか数値を測る機会があるので、最初の方より(数値が)落ちている。体重が増えることによって瞬発力が落ちるということが分かったので、自分の判断で」と、さらりと言った。

進化中の肉体から繰り出した真っすぐには、ある程度の手応えを得た。この日、ストレートで空振りは取れなかったが、押し込んでファウルか凡打にした。「もっとボコボコにされるかなと思ってたんですけど、真っすぐで、ある程度のコースでファウルも取れたので今の段階では良いかなと。今後は、もっと空振りが取れる真っすぐを求めていけたら」と、目指す方向性も定まっている。

お手本はチームのエースである上沢直之投手(28)。春季キャンプ中にキャッチボールの相手をして感じた。「すごい力感なくスーっとくる。それを目指して今は頑張ってます」。順調にスケールアップ中の達は、メジャーで大活躍することが目標。偶然にもロッテ佐々木朗希投手(20)が完全試合を達成した日に、きっちりと通過点としたデビュー戦を振り返った達の表情は、充実していた。