ロッテ佐々木朗希投手(20)が10日、オリックス戦で完全試合を達成した。

友人が世の注目を一身に集めた同じ時間、東北学院大・及川恵介捕手(3年=大船渡)は仙台市内のあるグラウンドにいた。

「リーグ戦の偵察がありまして。ちょうど朗希の試合中でした」

帰った後に、ネット動画で奪三振特集などを見たという。「去年からさらにレベルアップを見せてもらっている感じですね」。決して口数が多いタイプではないだけに、声の高揚ぶりが明確に浮き出る。佐々木朗とバッテリーを組んだ高校時代に“160キロを捕る高校生”として話題になった。一般学生として入学するも、昨年から硬式野球を再開している。

幼少期からの幼なじみは、160キロに独学で向き合った。冬にはピッチングマシンを駆使し、剛速球だけでなく、ワンバウンド捕球の練習も繰り返した。そのかいあってか「朗希の球で突き指はなかったです」と胸を張る。修学旅行の班行動中、ひと目ぼれして買ったミットで、高校野球史上最速の友と向き合った。

高校3年間でのベストボールを尋ねたことがある。

「160キロは定番になっちゃうので、いつだろう…。どれかは分からないですけど、フォークを打たれたのは3年間でもないので。フォークで空振りはいつも印象に残ってます」

懸命な努力で身につけたストッピングは、男の勲章だ。そんな魔球のさらなる進化も感じつつ「練習もあるので…」と、成人式でも隣り合った相棒の活躍を記事で知る日々。「チームの勝利のためにって、朗希が言っているのをよく聞きますけど、それを体現してて。すごいですよね」。この春のリーグ戦はメンバー外からのスタート。大きな刺激を受け、自分のことに打ち込む。【金子真仁】

◆佐々木朗希の完全試合 10日オリックス3回戦(ZOZOマリン)で史上16人目の完全試合を達成した。佐々木朗は立ち上がりから160キロ台の速球を連発。1回に3番吉田正から3球3三振を奪うと、ここからプロ野球新記録となる13者連続奪三振をマーク。後半も勢いが止まらず、最後は代打杉本を空振り三振で締めくくった。105球を投じてオリックス打線を完璧に封じ込み、打者27人をプロ野球タイの19奪三振、内野ゴロ5、内野飛球1(捕邪飛)、外野飛球2に仕留めた。チームは6-0で勝利した。