阪神は頼みの綱だった新勝利の方程式も崩壊し、両リーグ最多7度目の逆転負けで4連敗を喫した。7回0封の先発西勇を受けた「8回の男」湯浅京己投手(22)が、石川昂に勝ち越し打を浴びるなど2失点。8回湯浅から守護神岩崎への必勝リレーが固まり、やっと今季2勝目かと思われたが、夢ははかなく散った。開幕15試合で借金12は2リーグ分立後ワーストのプロ野球記録。次々と負の歴史を刻む虎に光が見えない。

【スコア】プロ野球スコア速報>>

虎の新方程式は、もろくも崩壊した。1-0で迎えた8回。6試合連続無失点だった湯浅が中日打線の餌食になった。1死からビシエドの二塁打、阿部の中前適時打で同点に追いつかれると、続く木下への四球で一、三塁とピンチを広げ、最後は石川昂にフォークを拾われた。前進守備の遊撃中野のダイブも届かない。打球が三遊間をすり抜けると、左翼スタンドの虎ファンはたまらずため息だ。湯浅は肩を落として降板した。今日もまた、勝てない。もう何度見てきたことか…。つらすぎるシーンだ。

すべてが裏目に出てしまう。矢野監督は7回を0封した先発西勇の交代について「球数も増えてるしね。増えた中であのイニングに行って、途中から湯浅というよりも、頭からいった方がいいんじゃないかなということ」と説明。ただ、新守護神に指名していた湯浅の8回投入については言及しなかった。リードした展開で初めて8回を湯浅に、9回を経験豊富な岩崎に託す新リレーを図ったとみられるが、0のバトンは最終走者に渡らず地に落ちた。

打線も苦手の大野雄対策でテコ入れしたが空転した。開幕から全試合出塁の近本を今季初めて「3番」で起用。1番島田、2番山本、7番にはドラフト6位豊田と大幅に打線を変更。だが、得点は6回の佐藤輝の3号ソロ1点だけで、ここ3試合の2得点は佐藤輝のソロ2発という惨状だ。開幕15試合で総得点はセ・リーグ最少の39で1試合平均2・6点。97年の開場から24年で5度しか勝ち越していない鬼門中の鬼門で、奥の手も不発に終わった。

矢野監督は必死に前を向くように力を込めた。「湯浅もやられたけど、その悔しさを晴らすチャンスは明日あるかもしれない。そういう気持ちで、今日の経験を次に生かしてくれる投球になったらいいんじゃないかなと思います」。15試合時点で借金12は、2リーグ分立後ではプロ野球ワースト記録になってしまった。リーグ最長の開幕9連敗、リーグ最速10敗など、不名誉な記録を更新し続ける負の連鎖が止まらない。勝率はわずか7分1厘…。球史に残る地獄スタートで、早く光が見たい。【桝井聡】

阪神ニュース一覧はコチラ>>

▽阪神福原投手コーチ(8回の湯浅の起用について)「ある程度湯浅を先に。流動的なところもあるかもしれないし」

▼阪神はこれで1勝13敗1分け。15試合を消化した時点の借金12は、2リーグ分立後のプロ野球最多。過去最多は11で、延べ7球団が記録していた。

▼1点差敗戦は6度目で、12球団ワースト。13敗の約半数を占めており、接戦の弱さが低迷の一因といえそうだ。

▼鬼門のバンテリンドームでのシーズン初戦は、19年から4年連続で黒星。通算106勝188敗7分けで、勝率3割6分1厘。借金は82に増えた。

▼阪神は13日から中日に連勝しない限り、開幕から連続6カード勝ち越しなし。72年と90年の5カード連続を超え、2リーグ分立後最長となる。

▼13日巨人○で阪神●なら、阪神は開幕16試合目にして首位から10ゲーム差となる。2リーグ分立後の球団最速は89年の18試合目(10差)で、更新の恐れが出てきた。