阪神小川一平投手(24)が、チームの緊急事態で底力を発揮した。この日先発予定だった伊藤将が新型コロナに感染した影響で、登板回避。自身2連敗となった2日巨人戦以来、今季3度目の先発マウンドが巡ってきた。前回の中継ぎ登板から中3日。背番号と同じ66球の熱投で、5回途中2安打無失点。代役の役割を全うした。

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「急きょ、決まった先発でしたが、緊張することなく投げることができました。途中降板となり岩貞さんに助けてもらいましたが、自分自身最低限の仕事ができたと思います」

マウンド上でドンと構えた。キレのある最速149キロの直球を軸に、緩急を使った投球で、中日打線を翻弄(ほんろう)。初回は1死一、二塁のピンチを招くも、4番ビシエドを内角140キロで中飛に打ち取り、阿部を147キロ直球で空振り三振にねじ伏せた。2、3回は連続の3者凡退。4回も難なく無失点で切り抜け、5回は2死二塁としたところで岩貞にバトンタッチ。1度も三塁を踏ませなかった。

昨季中継ぎとして19試合に登板した小川は3年目の今季、自身初の開幕ローテーション入りを果たした。開幕2戦目の3月26日ヤクルト戦でプロ初先発。他の先発陣との兼ね合いから、8日広島戦からロングリリーフ要員として中継ぎへと配置転換された。「(先発でも中継ぎでも)結局やることは変わらない。任された場所で抑えられるようにやっていきたい」と登板前に話していた右腕が、訪れた先発機会で奮起。首脳陣の期待に応えた。

矢野監督は「どこまで持つかというかね。『3回ぐらいかなぁ』っていう気持ちはあったんで。5回まで、あそこまで行ってくれたというのは大きかった」とたたえた。伊藤将、藤浪と2人の先発が離脱した窮地で、小川の奮闘が光った。【古財稜明】