無双が止まらない。阪神青柳晃洋投手(28)が7回2安打無失点の快投で、巨人戸郷と並ぶハーラートップタイの7勝目を挙げた。「チームが連敗していたので、何とか勝てるように頑張ろうと思って投げました」。必勝を期してカード頭を託され、今季2度目の中5日で121球の熱投。勝利数、防御率0・89、勝率8割7分5厘、3完投はいずれもリーグトップを誇る。昨季のパ・リーグ王者を圧倒的な投球でねじ伏せた。

注文通り「0」を並べた。初回先頭の福田に右前打されたが、そこから7回2死まで許した走者は2四死球を与えたのみ。右打者はツーシームで内角をえぐり、左打者には外角低めに沈むシンカーを有効に使って三振、凡打の山を築いた。

一流の投手から調整法を学び、一流の結果を生み出している。昨夏の東京五輪の侍ジャパンでチームメートだった楽天田中将から、登板2日前のブルペン投球の「考え方」を伝授された。それまでは「いいボールを投げようと思って、ずっとやっていた」というが、マー君から「その週の自分の体を確かめるためにやっている」と教わった。

新たな思考を身につけ、昨季は最多勝と最高勝率の2冠を手にした。今季もそのスタイルを継続し、「不安がなくなったのが一番。『今はここが疲れて、こういう状態なんだな』というのが分かった上で試合に臨めてます」と手応えだ。状態を知ることで、試合前日の過ごした方も変わった。ブルペン投球で体をうまく使えなかった部分を、翌日重点的にトレーニング。よりいい状態で本番に臨み、快投につなげている。

交流戦は3戦3勝で、23回2/3を投げ自責0でフィニッシュ。防御率0・00は、15年の阪神メッセンジャー、今季の日本ハム加藤しかいない3人目の快挙だ。「本当にランディみたいなエースになりたいなというところもある。そこを目指して頑張っていたので、なんとか達成できてよかった」。「青柳無双」はまだまだ続きそうだ。【古財稜明】

○…近鉄、ドジャースなどで日米通算201勝を挙げた野茂英雄氏(53)が、青柳の投球を絶賛した。カンテレで古田敦也氏(56)との88年ソウル五輪銀メダルバッテリー解説が実現。野茂氏は「すごいですよね。ボールが結構、シンカー気味に沈むので、打者は上っ面をたたくんでしょうね。ボールの下を打つくらいでちょうどいい感じ。ここまで、ほとんど1人で投げていますもんね」と快投連発の右腕に目を細めていた。

○…藤浪が1回を無失点に抑えた。5点リードの9回に4番手で登板。オリックス先頭の野口に左前打を許したが、落ち着いていた。福永をカットボールで三ゴロに。宜保にもカットボールを投じて遊飛に仕留めると、最後は紅林を空振り三振に料理した。右腕は5月31日西武戦から中継ぎで、5試合連続無失点と結果を残している。

○…伊藤将が今季初の中5日で11日のオリックス戦に先発する。前回登板の5日日本ハム戦(甲子園)は6回5安打3失点の粘投で2勝目をゲット。「前回、3巡目からつかまってしまった。オリックスはランナーをためて長打が打てるバッターがいるので、ランナーをためずに自分のピッチングができたら」と必勝を期した。

▼阪神青柳が7回を無失点に抑え、交流戦最後の登板を白星で飾った。交流戦3試合23回2/3を自責点0(失点2)で防御率0・00で終えた。交流戦の防御率0・00は15年のメッセンジャー(阪神)以来で、今季は加藤貴之(日本ハム)も3試合19回を無失点に抑えており、青柳は3人目だ。青柳は防御率だけでなく、勝利(3勝)、勝率(10割)、奪三振(22個)でもトップで、交流戦4冠に躍り出た。

▼青柳は京セラドーム大阪と相性がよく、これで5戦4勝、防御率は0・55。過去4戦は中日、DeNAとの対戦(各2試合)だったが、交流戦でも相性の良さは不変だった。

▽阪神矢野監督(青柳について)「まあ当たり前になってきたもんね。当たり前のレベルがスゴいし。どこのチームも左をずっと並べてきても、もう苦にするっていう感じには見えないよね。それは結果を見てもらえば分かると思うし。素晴らしいピッチングでした」

▼阪神が勝ち、今季の交流戦は10勝6敗とし、勝ち越しを決めた。交流戦勝ち越しは21年(11勝7敗)に続いて2年連続8度目。

阪神ニュース一覧はコチラ>>