話題はBIGBOSSだけじゃない。日本ハムが仕掛けた応援スタイルが、球界でひそかなブームを呼んでいる。球団マスコットとファイターズガールが試合中に踊る「きつねダンス」は、動画配信サイトで多くの再生回数を稼ぎ、シーズン途中に登場した新キャラクター「しゃけまる」も、グッズを増産。誕生秘話や“中の人”たちの野望とは-。仕掛け人たちの思いに潜入した。【取材・構成=中島宙恵】

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「リィンディン、ディディン…」。耳慣れない言葉の羅列に、中毒性抜群のリズム。キツネ耳のファイターズガールたちが試合中のイニング間に踊る怪しい「きつねダンス」が、球界を席巻中だ。動画配信サイトから火が付き、瞬く間に全国区に。球団公式チアやマスコットを管理運営する元ファイターズガールの尾暮沙織さん(35)は「こんなことになるとは思わなくて、びっくりしています」と驚きを隠せない。

きっかけは2年前。メインマスコットとして活躍した「B☆B」の後を引き継いだものの、なかなか浸透できずにいた「フレップ」の知名度アップが狙いだった。「フレップ君はキタキツネをモチーフにしたマスコット。彼をイメージしたパフォーマンスを作りたいと探していた時、あの楽曲を見つけて。気に入って毎日のように聞いていました。いつか使う場面が来たらいいなと」。原曲はノルウェーのコメディーデュオ「Ylvis(イルヴィス)」が歌って踊り、9年前に世界中で大ヒットした「The Fox」。振り付けは「非常にキャッチーで面白い動きを取り入れている」と、本家をベースに、子どもでもマネできるよう簡単にアレンジした。

初お披露目は、今季の本拠地3戦目となる3月31日。次第にファイターズガールが頭にキツネ耳を着けるようになり、対戦相手のソフトバンク松田が試合中に踊ったことで、人気が加速した。交流戦ではDeNAナインもダンス。首位打者の日本ハム松本剛が陣頭指揮を執り清宮らが出演した第1弾の公式動画は、5月12日の公開から220万回再生を記録。杉谷が出演した第2弾は公開から9日で、早くも第1弾の再生回数に迫る勢いだ。

スタンドで、多くのファンが踊りだすことを目指すが、尾暮さんは「最終目標はBIGBOSS! 出来れば、今シーズン中に1度は踊ってもらいたいな~と思っているんですけど…」と野望を抱く。キツネ耳の公式グッズ化も検討中で「いろいろ仕掛けていきます」と今後の展開が楽しみ。そのうち、尻尾付きのファイターズガールを見られる日も、来るかもしれない。

 

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