阪神が5位DeNAに痛恨の連敗を喫した。4番佐藤輝明内野手(23)は初回に先制打を放ったが、3回に好機で凡退。「カーッ、クッソー! 悔しいです」と感情をあらわにした。これで今季最長タイとなる51打席ノーアーチ。昨季は場外弾を放った横浜スタジアムで、豪快なアーチが見たい。

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とにかく勝利を欲していた。連夜の逆転負けを喫した直後だ。佐藤輝は報道陣を前に言葉を並べ始めると、ふつふつと沸き上がる悔しさを抑えられなかった。

「カーッ、クッソー! 悔しいです、…って感じです」

声が裏返る場面もあった。連敗の責任を感じ、ありのままの言葉が口を突いた。10安打を浴びせながら2得点とたたみかけられず、自身は今季最長タイの51打席連続ノーアーチ。この日も左翼から右翼へ強烈な「フォロー」の風が吹く中、チームの風向きを変えられなかった。

2日連続で主導権は握っていた。初回2死二塁。左腕石田の内角143キロを右前にはじき返した。「ランナーをかえせるように頑張りました」と気合の先制適時打。2試合連続で打点を挙げた直後に二盗を決め、プロ1年目の昨季に並ぶ6盗塁。送球が乱れる間に三塁まで陥れた。イケイケの立ち上がりだったからこそ、歯がゆさは残る。

「そうっすね…、はい…、出したかったッス」。声のトーンを上げ反省したのは、2-2で同点の3回。1死一、三塁で初球からバットを出したが力ない遊飛に倒れた。「輝もそういうバッターになっていかなあかんしさ。そこで(ランナーを)かえすバッティング。相手はかえさないように考えるわけだから、輝自身もやっていかないとダメ。打席に入ったら考えながらやらないと」。簡単にアウトを献上し、勝負強さに欠けた主砲に矢野監督も手厳しかった。

横浜スタジアムでは4試合連続安打で、今季打率4割5分8厘。得意舞台であと1本が出ない。「もっともっと打点挙げていきたいなと。頑張ります」。最後は前を向き、帰りのバスへと向かった。首位ヤクルトには今季最大の16ゲーム差。30日DeNA戦を落とすと、5位に転落する危機だ。昨季場外弾を放った球場で、チームを救う豪快アーチを打ってくれ。【中野椋】

▼佐藤輝の51打席本塁打なしは今季最長タイ。6月17日DeNA戦第1打席からアーチがない。今季では4月29日巨人戦第3打席~5月15日DeNA戦第1打席、5月31日西武戦第1打席~6月12日オリックス戦第4打席に並んだ。なおプロ最長は91打席で、21年8月20日中日戦第1打席~10月23日広島戦第3打席に記録。

○…大山が6月ラストゲームで球団記録に臨む。通算100本塁打に王手をかけ、田淵幸一、真弓明信が持つ球団日本人選手の月間11本塁打まであと1。さらに今岡誠の月間33打点の球団記録まで4としている。この日は8回に左翼線へ二塁打を放ったが、チームは敗れ、自身も3回の好機で一邪飛と悔しさが残る。今季は横浜で打率1割2分5厘、0本塁打と苦しむが、本来の姿を取り戻せばダブル達成もある。

○…長坂が痛恨の凡ミスを犯した。2回に山本の2号ソロで同点に追いついた直後、右前打で出塁。9番ガンケルの打席で、DeNA石田の一塁けん制に、立ったまま帰塁し、タッチアウト。攻撃のリズムが途切れた。矢野監督は「気を抜いたことはないと思うけど、結果的に、そう見られてしまう。寂しいプレー」と厳しかった。4回4失点のガンケルとともに5回の守りから交代となった。

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