中日笠原祥太郎投手(27)が1082日ぶりの白星を手にした。今季2度目の先発で初回1点を失いながら、要所を締めて5回5安打1失点。チームを3連勝に導いた。

5回2死から内川、村上に連続四球で満塁となったが、左腕は腕を振った。オスナにカウント1-0から宝刀がさえた。109キロチェンジアップで遊飛。ピンチを脱し、90球で出番を終えた。

「木下さんにいい報告ができる」

3年ぶりの勝利で脳裏に浮かんだのは、昨年8月3日に急逝したチームメート木下雄介さん。19年に笠原は初の開幕投手を務めたが、4月に不整脈が判明し手術を受けた。同年7月28日DeNA戦の白星を最後に、右脇腹痛などもあり20年は登板ゼロ。21年も終盤4試合登板で未勝利に終わった。自主トレをともにし、親交の深かった木下さんからは「ぜんぜん勝ってない。早く1軍で投げろよ」と辛口のゲキを受けたこともあった。契約解除も頭をよぎったが、先輩の励ましに支えられた。

スタンドには妻と2人の娘の応援もあった。同じ左腕の松葉が新型コロナウイルス感染で離脱中。「もどかしかった。いつ勝ったのか忘れた。長かった。まだローテに入れていない。入れるようにしたい」。笠原が、先発陣のピースとしてマウンドに戻ってきた。【伊東大介】

○…中日木下が全得点をたたき出した。2戦連続で3番起用されると、初回は同点の中犠飛を放った。3回2死一、二塁では勝ち越しの左前適時打。7回1死一塁では左翼へ4号2ランで4打点。「笠原の家族が見に来ていて。家族ぐるみの付き合いで、彼の娘が好き。娘さんのために打ちました」。お立ち台で勝利の女神の存在を打ち明け、スタンドの爆笑を呼んだ。今季から長さ35インチの長尺バットを使う扇の要が、打線をけん引した。

▽中日立浪監督(3年ぶり白星の笠原について)「(5回内川の四球は)しっかり勝負して欲しかった。先発投手がいないのでチャンスはある。次が大事なのでがんばってもらいたい」

▽中日R・マルティネス(29試合連続無失点で20セーブ)「練習でやっていることが試合でできているからだと思う。これからもチームに貢献できるようにしっかり準備する」

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