広島が球団史上初の3日連続グランドスラムを巨人に浴びせ、4年ぶりに敵地東京ドームで同一カード3連勝を飾った。2点を追う4回に、堂林翔太内野手(30)が左翼席へ代打逆転満塁弾を放った。今季3本目の代打アーチで、球団では91年以来2度目となる3戦連続満塁本塁打。「3日連続」は球団史上初の快挙となった。3戦8本塁打の1発攻勢で、2位をガッチリと守った。

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どよめきが収まらない。3日連続のグランドスラムに、赤く染まった左翼席が揺れた。2点を追う4回1死満塁。代打で登場した堂林が巨人鍬原から5号逆転満塁弾を放った。「感触はすごく良かった。みんながつないでくれたチャンスで打つことができて良かった」。一塁手前で右拳を突き上げた。

東京ドームで3戦連続の満塁アーチが飛び出した。球団では31年ぶり2度目。3日連続は球団初の快挙だ。試合を決める一打になり、堂林は「光栄なことでとてもうれしい」と喜んだ。代打本塁打は今季3本目だが「勝負強いとは思っていない。(スタメンで)出たときに結果が出ていない。少ないチャンスで自分の役割を理解しながら今後もやっていきたい」。34試合に先発しているが、思うような結果を残せていない。勝負どころの一振りで悔しさを晴らした。

異例の出来事は、もうひとつあった。堂林に続き、7回には中村健が3号ソロ。8回には磯村が3号2ランで続いた。3人はそろって中京大中京高出身だ。堂林は「たまたまです」と控えめに笑ったが、佐々岡監督は「中京大中京のトリオがいいところで打ってくれた」と1発攻勢をたたえた。この日、母校はまさかの3回戦敗退となったが、プロの先輩は底力を発揮した。

チームは3戦で計8本塁打と空中戦で巨人を圧倒した。東京ドームでの同一カード3連勝は4年ぶり。前日16日に浮上した2位をがっちりキープ。18日からの9連戦最終カード、本拠地での阪神戦に勢いをつけた。【前山慎治】

○…九里が19年9月19日DeNA戦以来の中継ぎ登板で4勝目を挙げた。先発野村が3回4失点で降板。6-4と逆転した直後の4回からマウンドに上がり、3イニングを1失点に抑えた。「初回にちょっと力が入った。(自身の)2回、3回はある程度思うところに投げられた」。次戦以降について佐々岡監督は「先発もまたあるかもしれない」と先発復帰の可能性を示した。

○…秋山が4戦連続で打点を挙げ、攻撃の軸になっている。9回無死一、三塁で右前適時打を放ち、点差を5点に広げるダメ押し打。「1本ずつ打っていくことは大事なこと。次の1本、1点を取るためにまた一生懸命やりたい」。4回先頭では左翼線二塁打を放ち、6得点猛攻の口火を切った。一時は18打席連続ノーヒットで心配されたが、4戦連続安打で調子を上げてきた。

○…中村健が7回無死から代打で右中間に3号ソロを放った。カウント1-2と追い込まれながら、右中間へアーチをかけた。「堂林さんが代打で満塁本塁打もハンパない。そのあとイソ(磯村)さんが試合を決定づける1本。(広島で)一緒になって同じ日に本塁打を打てるなんて…。こんな日もあるんだなと思う」。09年に夏を制した当時中京大中京のエース堂林に憧れて同校に入った中村健がアベック弾で恩返しした。

○…磯村が8回に3号2ランを放ち、「中京大中京トリオ弾」を完成させた。4回に堂林が5号満塁、7回に中村健が3号ソロ。リーチをかけた8回2死一塁で内角直球を左翼席へ運んだ。「積極的にいこうと心掛けていた。(中村)健人も先に打っていて、みんなに言われながら打てて良かった。いい日になった」。堂林とのアベック弾も12年目で初だった。

○…薮田が18日のホーム阪神戦で昨年6月14日の西武戦以来の先発マウンドに上がる。今季は登板11戦すべてが中継ぎ。九里が直近の先発5戦で0勝3敗と不調で中継ぎに配置転換され、その穴を埋める形となる。「とにかく結果にこだわって、1イニングでも多くゼロを並べられるように頑張りたい」。20年10月22日阪神戦を最後に勝利から遠ざかる右腕が、2年ぶり白星を目指す。

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