ベテランは頼もしかった。ソフトバンク和田毅投手(41)が5回7安打1失点の粘投でチームの連敗を4で止め、3勝目を挙げた。首位攻防戦に連敗していたが、一矢を報い西武に0・5差に迫った。

初回1死三塁。3番森に左前に運ばれた。カード3戦連続の初回失点。だがクレバー左腕は慌てなかった。「しょうがない。仕方ないと割り切ることができた」。5回まで毎回安打を許したが、計算もあった。2戦6打点の山川には2安打1四球。「欲を出さずに、ヒット、四球ならいい。ホームランじゃなければいい。そういう感覚」。3打席連続出塁は1発&痛打を警戒した結果。本塁打&打点の「2冠男」も巧みにかわした。

新型コロナウイルス陽性から復帰して初先発。万全とは言えないコンディションだが、チームの窮地は誰より理解している。今季最多の98球を投げた。プレートから踏み出す歩幅は6歩半。プロ入り20年たった今も変わらない。本拠地のマウンドは今季から硬度を高めるために荒木田土という粘土質の高い土を入れて固めた。下半身には負担もかかるが、チーム最年長はしっかり対応している。

「朗報」もあった。母校・浜田が18年ぶりに夏の甲子園出場を決めた。後輩たちの奮闘に「彼らの姿は励みになります」と言った後で「(今宮の母校)明豊とは当たりたくないですね」と笑わせた。対西武の通算勝敗はこれで19勝20敗。パ・リーグの他4球団には勝ち越している和田にとって個人的な「借金」も返済したいところだ。西武からの白星は20年7月29日以来、2年ぶり。首位奪回へ、ベテラン左腕が大きな白星を運んできた。【佐竹英治】

▽ソフトバンク柳町(2回無死満塁から中前へ同点タイムリーを放ち) 満塁のチャンスで回してもらったので、どんな形でも同点に追いつくことだけを考えた。前に飛ばしてアクションを起こそうと思った。

▽ソフトバンク甲斐(4回、左翼線へ適時二塁打を放ち) つなぐ意識だけでした。チャンスを生かすことができて良かった。

○…育成から支配下に復帰した7年目の黒瀬健太内野手が、決勝打となるプロ初打点を挙げ勝利に貢献した。8番一塁でプロ初スタメン出場。同点に追いついた2回無死満塁の場面で、西武先発のエンスから勝ち越しの左犠飛を放った。「何とか食らいついて必死に打つことができました」。28日に支配下契約、29日に1軍昇格。出場2試合目で結果を出した。試合後は、和田から初打点の記念にウイニングボールを手渡され「大事に飾りたい」と笑顔いっぱいだった。

○…ジュリスベル・グラシアル内野手が豪快な1発で勝利をアシストした。1点リードの4回1死。エンスの148キロの直球を振り抜きバックスクリーンに6号ソロを突き刺した。「真っすぐをしっかり捉えることができた。自分のスイングをすることを心掛けて集中して打席に入ることができたよ」。6月19日の楽天戦(ペイペイドーム)以来、約1カ月半ぶりのアーチ。一塁ベンチではお得意のボクシングポーズも決め、笑顔だった。

○…「新8回の男」の藤井皓哉投手は3者凡退にも反省を忘れなかった。いきなり先頭山川はボール2球。カウント2-2として右飛に仕留めたが、続く呉念庭、川越にも2連続ボールとした。「3人で抑えることはできましたが、全員に対して2ボールからのスタートになってしまったのは反省です。カウントが常に不利な状況だったので、力勝負になってしまった」。全16球はすべて直球勝負で打ち取ったものの制球を欠いた内容に自己採点は辛かった。

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