次の50年、100年先の日本野球のために-。野球伝来150年プロアマ記念試合「U23NPB選抜-大学・社会人選抜」が学生野球の聖地、神宮球場で行われた。U23NPB選抜を率いたのは、侍ジャパン栗山英樹監督(61)。侍ジャパンのユニホームに袖を通し、昨年12月の代表監督就任後、初の実戦に臨んだ。先発には今季途中で投手に転向した中日根尾昂投手(22)を送り、初陣を飾った。

     ◇     ◇     ◇

初陣勝利の瞬間、栗山監督はコーチ陣と握手した。「若い選手たちが一生懸命やってくれていて、プロアマ超えて躍動する姿を見ると、野球に感謝です」と感慨深く切り出した。勝利より、若者たちが精いっぱい戦えた事実を喜んだ。

日本代表監督としての最大使命は、言うまでもなく来春WBCでの世界一奪還だ。同時に、日本の野球界をどう盛り上げていくかにも腐心する。少子化で競技人口の減少が叫ばれる中、「野球は過渡期に来ている」と口にする。代表監督の自分が訪れることで注目を集め、盛り上げられるはず。だから、侍ジャパンの公式行事以外にも、少年野球や女子野球の大会にも積極的に足を運ぶ。

その思いの延長線上に、今回の記念試合もあった。指揮が決まると、各球団に有望株の出場を打診。当初は2軍選手中心だったが、中日根尾、ロッテ安田ら1軍でプレーする選手も集まった。その根尾を、先発に抜てき。二刀流の力もあると認める右腕の「背中を押してあげたい」。脱皮のきっかけを与えたかった。

試合中は攻撃時だけでなく、守備時も三塁側ベンチの向かって左端に仁王立ちした。「監督って、どっしり座ってる方がいいんだろうけど、立って、いろんな細かいことを見ないといけない」とゲームに没入した。日本ハムを率いた昨秋以来のタクト。全選手を起用するため頭をフル回転した。「違和感、なかったです。ゲームの動き、選手の調子を見通す」と脳内はクリアだった。4安打の楽天黒川の「いつか侍ジャパンに」を聞いて目を細め、言った。

「先輩方が野球の歴史をつくってくださった。それを引き継いで、次の世代に伝えられるように」【古川真弥】

 

▽侍ジャパン吉井理人投手コーチ(先発した根尾について)「今日の投球は素晴らしかった。(来年のWBCは)今日のピッチャーみんなチャンスあると思う。しっかり投げてくれたら見に行きますので、可能性はあると思います」

▽広島中村奨(3番捕手で先発。根尾をリードし)「投手っぽい球をすごく投げていた。ストレートが一番良かった。(シーズンでは)打たせてくれるか分からないが、一番いい球を打てるようにしたい」

▽日本ハム達(2番手で1安打2四球1失点で勝利投手に)「栗山監督にドラフトで指名していただき、こういう舞台で一緒に野球ができてうれしかったです」

▽巨人木下(5番手で1回1安打1四球無失点)「不利なカウントになっても変化球でカウントを整え、真っすぐで勝負できました」

▽楽天小峯(7番手で1回無安打1四球無失点)「1軍とは違う緊張感もありましたし、他球団の選手とも交流ができ、いい経験になりました」

▽ソフトバンク正木(7回に日体大・矢沢から左越えに適時二塁打)「同世代の選手とプレーして学ぶことがあり、負けられないと思いました。ヒットが出て自信になりました」

▽中日ブライト(途中出場も2三振)「結果は出なかったですが、普段プレーできない選手たちと一緒に野球ができてうれしかったです」

▽大学・社会人選抜の石井章夫監督(57)「打撃で打ち負けないというテーマを持って、打者はやってくれた。前半はとらえきれなかったが、積極性のある打撃が後半、つながりを持った」

▽立大山田(大阪桐蔭でチームメートだった根尾、藤原と対戦し)「高校の同期2人も、ちゃんと成長しているなというか、自分よりも上のレベルで4年間やっている。自分ももっと上を目指してやらないといけないなと思いました」

▽三菱重工East・中山(フル出場で3安打)「スピードの速い投手がたくさんいたので、スピードボールに負けないようにしっかり準備していくと決めていました」

▽ホンダ熊本・丸山「根尾、森木投手と対戦しましたが、特にベース板上での球がとても速かった。捕手としては2投手をリードしましたが、欲を言えばゼロで抑えたかったです」

【写真たっぷり詳細ライブ】NPB選抜が勝利、栗山監督初陣飾る 根尾1回0封、大学・社会人選抜が一挙5点反撃も/詳細