日本ハム近藤健介外野手(29)が、プロ11年目で初の逆転サヨナラ弾を放った。1点を勝ち越された直後の9回無死一、二塁から、146キロを右翼ポール際へ運んだ。

母校の横浜(神奈川)も夏の甲子園大会初戦を突破し「最高の誕生日になった」。「ヤ(8)キュウ(9)の日」に生まれた“打撃の申し子”の活躍で、今季4度目のサヨナラ勝ち。BIGBOSSも大興奮の展開に、本拠地が揺れた。

   ◇   ◇   ◇

「まぐれでしょ」。劇的勝利のヒーローは、興奮に顔を赤らめ、照れた。2-3の9回無死一、二塁。西武増田から逆転サヨナラとなる4号3ランをライナーで右翼席へ運んだ近藤は「気持ちいいっすね。足が震えて、手が震えて…。頭が真っ白になりました。もう一生、出来ないと思うので、かみしめて走りました」。侍ジャパンの一員として昨年の東京五輪で金メダルも獲得した、百戦錬磨のチームリーダーが、我を忘れた。

球界を代表するアベレージヒッターにも、人知れず迷いがあるらしい。BIGBOSSの「打て」のサインに、吹っ切れた。「いつもチャンスで自分で追い込んだり、最悪のことを考えちゃう。ボスが信頼して打てのサインを出してくれた。久々に消極的にならずに打てた」。新庄監督も「いや~、素晴らしかった。打球が素晴らしかった」と大興奮で「スクイズとバスターエンドランの失敗。僕の今日2つのミスを、帳消しにしてくれました」と、最敬礼だ。

「ヤキュウの日」に生まれた。20代最後の誕生日は、最高の1日になった。この日は、朝から夏の甲子園大会に出場している母校、横浜の試合を「しっかり朝8時に起きて見てました」と、テレビでチェック。初戦突破した後輩たちの姿に「刺激になるし、誕生日に試合をしてくれた。何かの縁なのかな」と、背中を押された。

選手会長としても、若いチームを引っ張る。新庄監督は「やっぱり、安定感がある。何かしてくれそうな雰囲気がある。若い選手を集めて、どうやったら選球眼が良くなるかを教えて欲しい」と期待した。試合終了後、ベンチの前で選手、スタッフが輪となり、恒例の“勝利の一本締め”。「これから、どんどん連勝していこう!」。背番号8の絶叫に、総立ちのスタンドも手締めで応えた。【中島宙恵】

◆近藤の誕生日(8月9日)打撃成績 過去、4シーズンで出場。プロ3年目の14年に初めて出場し、4打数無安打。15年の楽天戦(札幌ドーム)には5番DHで出場し、6回に川井から7号のバースデーアーチを放ち3打数1安打1打点。20年の西武戦(札幌ドーム)でも1安打を放ち、今年も含め通算17打数4安打4打点2本塁打、打率2割3分5厘。

【関連記事】日本ハムニュース一覧>>