ヤクルト村上宗隆内野手(22)が新たな金字塔を打ち立てた。6回に46号先制3ランとなる弾丸ライナーを放ち、通算150本塁打を達成。清原和博の22歳11カ月を塗り替え、22歳6カ月での最年少記録を更新した。さらに7回には大きな放物線を描く2打席連続の47号ソロをマーク。球史に名を刻んだ4番の今季11度目の複数本塁打で、2位DeNAとの直接対決3番勝負初戦を制した。相手の本拠地連勝記録を17で止め、5ゲーム差に広げる大きな1勝となった。

    ◇    ◇    ◇

回を追うごとに張り詰める緊張感。その糸を、村上が自ら一瞬だけほどいた直後だった。0-0の6回無死一、二塁での第3打席。カウント1-2でタイムをとった。対するDeNA大貫もプレートを外し、息を吐く。勝負の分かれ目。フルカウントとなった7球目、勝負にきたスプリットをとらえ、右翼席へ弾丸ライナーを突き刺した。インパクトから約2・8秒での到達。「追い込まれていたのでコンパクトに打ちました。最高の結果になって良かったです」。均衡を破る1発は歴史的記録となった。

22歳6カ月での通算150本塁打を達成し、清原の22歳11カ月を抜く史上最年少記録となった。その直前の6球目、ボールを見送ると、四球と間違えて一塁方向へ歩き出した。鋭い眼光は一瞬にして消え去り、22歳の笑顔。打席では「間違えちゃった」とこぼした。試合後、リラックス効果こそ「ないっすね」と否定し「恥ずかしかったです」。それでも肩の荷を下ろしたような破壊力で、弾丸ライナーを演出した。

7回には2ボールの有利なカウントから振り抜き、大きな放物線を描いた47号ソロ。約6・9秒と、4秒差もある対照的な1発は、今季11度目となる複数本塁打。直近5試合で4本塁打、10四球。勝負を避けられる中で、数字を伸ばしてきたのは、失敗の先には成功が待っていると信じているから。「苦しいことの方が、うれしいことより多い。1回のうれしさは、9失敗した分だけ、うれしいことに。失敗することによって、成功というのがより一層うれしくなりますし。失敗は成功のもとじゃないですけど」。22歳にして、その境地にたどり着く。

直接対決3番勝負第1ラウンドは、自らの2発でKO勝利。猛追するDeNAが17連勝していた敵地で制した。「チームが勝つためにやるのが一番なので、もちろん自分が犠牲になっても点を取りたい場面だったり、なんとかチームにいい流れをっていうときもあると思うので、チームが勝てるようにチームのために動きたい」。変わらぬ信条で臨む。【栗田成芳】

<過去のハマスタ仰天弾>

◆フィルダー(阪神) 89年8月13日、大洋戦で2打席連続場外弾を含む3発。7回は150メートル、9回は160メートル。1試合で場外2発はハマスタ初。

◆マイヤー(大洋) 90年8月29日、内藤(ヤクルト)から左翼場外の公園へ推定160メートル。3A時代に179メートル飛ばしたというパワーを見せつけた。

◆松井秀喜(巨人) 98年5月13日、場外弾を含む2発。3回、戸叶(横浜)からの1発は右翼場外へ150メートル。「打った瞬間、場外だと思った。あれで場外に行かなかったら逆にショック」。長嶋監督も「はるかかなたに飛んでいったね~」。

◆ウッズ(横浜) 03年6月8日、右打ちにもかかわらず右中間場外へ工藤(巨人)から推定160メートル。04年4月6日には伊良部(阪神)からスコアボード最上段を破壊する160メートル。

◆阿部(巨人) 12年8月26日。センターへの大飛球は、フェンスに直撃する軌道が突然、空中でバウンドするように軌道を変えてバックスクリーンに飛び込んだ。球場関係者がボールを調べたが異常なし。「鳥に当たった」「透明のUFOに当たって跳ね返った」とネット上でも騒ぎに。

◆バレンティン(ヤクルト) 13年4月29日、DeNA戦で場外2発を含む1試合3発。

◆柳田悠岐(ソフトバンク) 15年6月3日、三浦(DeNA=現監督)から電光掲示板直撃の推定150メートル弾。当たった場所は衝撃で点灯せず黒くなった。

◆筒香嘉智(DeNA) 16年7月12日、福谷(中日)から7回に右中間場外へ推定155メートル。5回にも右翼席看板に当てる特大弾。

◆佐藤輝(阪神)21年4月9日、右中間の場外へ推定140メートルの3号ソロ。プロ1年目のルーキーがレジェンドスラッガーたちに飛距離で肩を並べた。

【関連記事】ヤクルトニュース一覧