3位阪神が巨人との今季最終戦で接戦の末に敗れ、優勝の可能性が完全に消滅した。4位広島がDeNAに勝利し、ゲーム差のない5位巨人とともに0.5ゲーム差まで迫られ、クライマックスシリーズ(CS)に黄色信号がともった。

序盤に主導権を握ったのは阪神だった。2回2死走者なしから、佐藤輝明内野手(23)が8月20日の巨人戦(東京ドーム)以来、自身22試合ぶりの1発となる19号ソロで1点を先取。その後逆転を許し、2点を追う7回1死一、二塁から代打マルテが左前への適時打で1点を返したが、反撃はとどかなかった。

先発の巨人キラー西勇輝投手(31)が誤算だった。1点リードの5回、先頭ウォーカーに中越えの三塁打を許し、2死三塁から吉川に今季巨人戦4試合、29イニング目で初失点となる右中間への適時二塁打を浴び同点に。6回は1死から中田に中越えのソロを浴び勝ち越しを許すと、2死からポランコに右越えの特大の1発を浴び、6回8安打3失点で降板。2年ぶりの2桁勝利もお預けとなった。

就任4年目の矢野燿大監督(53)は、キャンプイン前日の1月31日に今季限りでの退任を表明。退路を断ち異例のシーズンインとなった。だが、開幕戦の3月25日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)で7点差逆転負けから、セ・リーグワーストの開幕9連敗。17試合消化時点で1勝15敗1分け。勝率6分3厘はプロ野球史上初めて。最大16の借金を抱えるなど、歴史的な低迷で幕を開けた。

交流戦では12勝6敗で2位となるなど、青柳晃洋投手(28)を柱に先発陣が安定。ブルペン陣も整備され前半戦終了時には勝率を5割に戻し、11ゲーム差ながら2位で折り返した。湿りがちな打線も3番近本光司外野手(27)、4番佐藤輝明内野手(23)、5番大山悠輔内野手(27)の和製クリーンアップも固定し、追い上げムードも高まった。

だが、新型コロナウイルスに泣かされた。8月に入り、大山、近本、1番で正遊撃手の中野拓夢内野手(26)をはじめ主力が陽性となり離脱。8月9日DeNA戦(横浜)から今季2度目の8連敗を喫し、失速した。シーズンを通して感染者が出た。開幕直前には初の開幕投手に決まっていた青柳も陽性となり出遅れた。突貫工事で開幕に合わせ炎上したカイル・ケラー投手(29)も6月に復帰以降は調子を上げていたが7月中旬に陽性となり離脱した。

チーム防御率はリーグトップの2・66(16日現在)。6球団で唯一2点台と投手陣は踏ん張ったが、球団史上ワーストの25度の0封負けを記録するなど、打線が援護できなかった。得点力を上げようと、主軸の守備位置を細かく変更したが、79失策(同日現在)はリーグ最多と、今年も課題の守備で痛いミスが出た。

昨季22本塁打で今季も不動の3番・一塁を期待されていたジェフリー・マルテ内野手(31)は度重なる右足の故障で離脱。2年目のメル・ロハス・ジュニア外野手(32)もスタメン定着できず、7月に緊急獲得した元オリックスのアデルリン・ロドリゲス内野手(30)もわずか24試合の出場にとどまっている。今季はトレード補強もなかった。

残り7試合で3位を死守し、CS進出を狙うしかない。

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