阪神は17日の巨人戦に敗れ、17年連続のV逸が決まった。現在もクライマックスシリーズ進出に向けて必死の戦いは続いている。その一方で18年ぶりの優勝を目指す来季への課題は何なのか、3回連載でデータ面からヒントを探る。

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今季の阪神のデータをみると、なぜこれで借金を抱えているのか? と思うことがある。たとえば、得失点差だ。今季の総得点465はリーグ4位(データは18日現在。以下同)。首位のヤクルトは571だから100点以上離されている。だが、総失点405は12球団一少ない。得失点差はプラス60で、ヤクルトのプラス40を上回ってリーグ最多だ。

得失点差のプラスが大きいということは一般的に「投打のバランス」が取れている状態、といえる。得失点差は順位とも多くの場合比例しており、50年の2リーグ制後、シーズンの得失点差がマイナスのチームが優勝した例はない。また、1リーグ6球団(セは53年~、パは58年~)となって以降、得失点差プラス50以上のチームがBクラスになったのも10例しかない。阪神も50年に得失点差プラス70で4位になっているが、当時は8球団制で、4位はAクラスにあたる。もし今季、得失点差がプラス50以上でBクラスに終われば、球団史上初になる。前半戦のつまずきが大きいとはいえ、プラス60なら首位でもおかしくない数字なのに、だ。

「得失点差が大幅プラスなのに借金4」というアンバランスな成績になっているのは、チーム打率がリーグ最低の2割4分4厘で、同防御率は12球団一の2・64という極端な「投高打低」が響いているのは確かだ。点差別勝敗をみると、阪神は1点差試合に19勝24敗と負け越すなど、3点差以下の勝敗が36勝51敗で借金15。首位ヤクルトの貯金14とは対照的だ。逆に4点差以上は、6点差以上に15勝6敗と大きく勝ち越すなど29勝18敗で貯金11。投手陣が安定しているため、勝つときは大勝もある。だが、打線が迫力不足なので接戦を落とすことが多い、という傾向が表れている。

ヤクルト戦は今季通算9勝13敗だが、点差別では4点差以上が8勝2敗。3点差以下なら1勝11敗と「大勝&惜敗」傾向がより鮮明だ。開幕戦での7点差逆転負けなど、ヤクルトには派手な負け方をした試合が多いが、実は競り負けているのだ。

DeNAは全く逆だ。得失点差はマイナス30なのに、貯金7で2位。3点差以下は貯金10で、4点差以上は借金3。2ケタ失点で負けた試合が9(阪神は1)あり、大敗も多いが接戦を拾っていることがわかる。

阪神は、顕著な「大勝&惜敗」傾向を修正することが、来季の課題のひとつとなりそうだ。【遊軍・高垣誠】