阪神が首位ヤクルトを連倒して11日ぶりに単独3位に浮上し、クライマックスシリーズ(CS)進出に大きく前進した。新監督に内定した岡田彰布氏(64)がABCラジオの解説を務めた一戦で、同点の8回に原口文仁内野手(30)が勝ち越し適時打。試合のなかった4位巨人に0.5差、5位広島に1差をつけた。泣いても笑ってもあと1試合。矢野阪神の最終戦となる10月2日のヤクルト戦(甲子園)にすべてをかける。

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打球が三遊間を抜ける。原口は心の中でゲキを飛ばしながら走った。「島田、頑張れ!」-。8回2死二塁、二塁走者の後輩が懸命のランで生還してくれた。不屈の30歳が必死のV打だ。「チーム一丸で束になって絶対勝つという気持ちで挑んでいる」。ベンチでは仲間が、スタンドのファンが沸きに沸いた。

3打席凡退で迎えた4打席目。清水にストレート2球で追い込まれてから。「できる準備と集中力、それをしっかり保ちながら」。フルカウントから2球ファウルで粘る。8球目、外角低めカーブに食らいつく。矢野監督も「もうすごいもんね。ほんとにすごい。しぶといバッティング。最高でした」と最敬礼だ。

9月は打率4割5厘。バットでけん引する一方、グラウンドでベンチで、誰よりも声を出す。「守ってる時もベンチでも何かしら力になろうとしてる。打席に入れば『やってくれるんじゃないか』と思わせてくれる」。指揮官の信頼も絶大。諦めない虎の象徴として最前線に背番号94がいる。

CSを争う巨人、広島が試合のない2日間で連勝。巨人に0.5ゲーム差をつけ単独3位に立った。レギュラーシーズンラストとなる神宮での試合後、スタンドへ頭を下げた矢野監督は「ボードやタオルも、いつもより多くたくさん上げてくれてる。コールもしてもらって」。感謝を込めた後、さらに語気を強めた。

「これで終わりと思ってない。今日はありがとうございましたっていう思いで頭下げさせてもらった。もちろんそれで終わるつもりはない。帰ってくればいいだけのことなんで、もう1個取るしかない」

原口も「もうひとつ勝てば先の戦いに進めると思う。なんとか先にいけるように頑張りたい」ときっぱり。開幕9連敗で始まったシーズン。CS進出、さらにその先へ。まずは10月2日、甲子園で再びツバメを倒す。【中野椋】

◆セ・リーグ順位決定法 (1)勝率(2)勝利数(3)当該球団間の対戦成績の順で決める。勝率と勝利数が2球団で並んだ場合は直接対決で勝ち越した球団、3球団以上で並んだ場合は当該球団間の対戦成績を合算して勝率の高い球団が上位となる。阪神、巨人、広島が並べば3球団間の対戦成績合算で広島が3位となる。

◆セ・リーグCS争い ヤクルトに連勝して単独3位に浮上した阪神が優位に立った。阪神が今季最終戦の2日ヤクルト戦○なら、その時点で巨人の結果と無関係に巨人の上位となることが決定。広島が阪神を追い抜くには、○○○しかない。阪神が2日に△でも、巨人は阪神を上回るには1、2日に○○のみ。広島も○○○または○○△が必要。仮に阪神が2日●なら、ライバル2球団に逆転の可能性が広がる。まずは2日の勝利に全力を注ぎたい。

▼阪神のCS進出は最短で10月1日。条件は広島が29、30日に●●、●△、△△のいずれかで、巨人が1日に●の場合。

▼阪神のCS消滅は最短で2日に延びた。2日は3位を争う阪神、巨人、広島の3チームがそろって最終戦。

○…佐藤輝が自己最長を更新する11試合連続安打をマークした。「6番右翼」で出場。4回先頭でヤクルト市川のカーブをたたいて中前へ。6回にも2番手大西から中前打を放ち、9試合ぶりのマルチ安打で打率を2割6分6厘に上げた。「ホームラン打ってナンボなんで」と話す大砲が、10月2日の今季ラストゲームはド派手な1発で締めくくるか。

▽阪神高寺(4回にプロ初盗塁に成功)「盗塁は特にファームでも練習してきたので、ひとつ決めることができてよかったです。昨季はスタートを切る勇気もなかったので、そこは少し成長できたのかなと思います」

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