頼む、切り込み大砲! 2試合連続先頭打者本塁打を放っている阪神中野拓夢内野手(26)が、レギュラーシーズン最終戦も打線をけん引する。先頭打者弾のプロ野球最長記録は93年松永浩美(阪神)の3試合連続。史上2人目の快挙で勢いを与えたい。

俊足が武器の26歳はツボにハマれば飛距離も出る。1本塁打だったプロ1年目から大幅増の6本塁打。ただ、あくまで「自分の仕事は塁に出て、いい形で後ろにつなぐってことだけなので」と胸に刻む。「最後の残り1試合もその気持ちを忘れず、後ろにつなぐバッティングをしていきたいと思います」。最多安打争いでも、この日無安打の中日岡林(残り2試合)、1安打のDeNA佐野(同4試合)と155安打で並んでおり、1歩も引けない最終戦。固め打ちでフィニッシュとなれば、おのずと勝利も近づく。

神宮でのヤクルト戦では2戦連発で連勝に導いた。関東の虎党の熱い応援も心に届いた。「ここ2戦、いい勝ち方ができたと思います。あとは他のチームがどうこうというよりは、その1試合で自分たちが勝つっていうことだけを考えて、全員で束となってやっていきたい」。143試合目は甲子園。スタンドも巻き込んだ一体感を第1打席の快音から作り出す覚悟だ。

2年間で甲子園での本塁打はないが、6試合連続安打の好調ぶりを見れば浜風を切り裂く一撃の予感も漂う。今季、打点を挙げた17試合でチームは全勝。不敗神話も心強い。運命の「10・2」ヤクルト戦。中野の号砲が勝利への合図になる。【中野椋】

◆93年松永の3試合連続初回先頭打者本塁打 前年オフに、野田浩司投手との交換トレードで阪神入り。亀山、新庄ら若手の多い打線のけん引役を期待された。8月20日からのヤクルト3連戦(神宮)では、すべて1番・三塁で先発出場。まず20日には、伊東昭光から1回に右翼へ先制弾。続く21日は石井一久からは右翼席へ。そして22日には、荒木大輔のシュート回転の4球目を、バックスクリーン左へ。前人未到の快挙を成し遂げた。「センター返しだけを考えていた。名前が残るのは、やっぱりうれしい」と会心の表情だった。

▼阪神は最短で10月1日にクライマックスシリーズ進出が確定する。広島が9月30日に△または●なら、その時点で最終勝率で阪神を下回ることが確定。巨人が10月1日●なら、巨人も阪神より下位となることが決まる。

▼阪神は自力でのCS進出も復活。今季最終戦となる10月2日ヤクルト戦に勝てば、巨人、広島の結果に関わらず3位となる。