阪神が10月20日のドラフトで上位候補として最速153キロの国学院大・田中千晴投手(4年=浪速)をリストアップしていることが29日、分かった。189センチの長身から投げ下ろす速球が武器でフォークも駆使。将来性が豊かな素材を評価し、有力候補に浮上した。

戦力事情に即したターゲットになる。今季は若手投手が台頭した。高卒3年目の西純が6勝をマーク。右肘手術から再起した23歳の才木も4勝を挙げ、新人森木も1軍デビューを果たした。青柳や伊藤将、湯浅ら投手陣の層は厚く、12球団最強のチーム防御率2・67を誇る。来季以降、さらに陣容を盤石に整えるため、今年は伸びしろなど、素材を重視する方針だという。

国学院大・田中はチームのニーズに合致する。今春は右肘の故障を乗り越え、2年秋以来、3季ぶりの公式戦登板するなど活躍し、ドラフト市場で評価は急上昇した。スポーツ推薦ではなく、国学院を熱望して指定校推薦で入学したガッツもある。地元大阪府出身で阪神にとって地の利もあるが、複数球団のスカウトも評価しており、その動向を見定めつつ、上位候補に位置づける。

また、高校生もスケールの大きい投手の発掘を目指す。これまで最速151キロ右腕で苫小牧中央(北海道)の斉藤優汰投手(3年)や最速152キロ右腕で盛岡中央(岩手)の斎藤響介投手(3年)らの動向を追ってきた。ともにプロ志望届を提出済み。斉藤はカーブやフォークを用いる本格派だ。また、斎藤は今夏の岩手大会3回戦で19奪三振。準決勝で佐々木麟太郎内野手(2年)を擁する花巻東を倒し、注目を集めた。

今秋は高松商・浅野翔吾外野手(3年)らが1位候補に挙がるなか、バランスよく「金の卵」の投手指名も検討する。次期監督に内定している岡田彰布氏(64)の考えも反映し、ドラフト戦略を練ることになりそうだ。

◆虎の今秋ドラフト事情 今夏の甲子園でも活躍した高松商・浅野翔吾外野手(3年)、大阪桐蔭・松尾汐恩(しおん)捕手(3年)をドラフト1位候補として高く評価している。近本、佐藤輝、中野ら左打者が多いこともあり、将来性豊かな右打ちの野手が補強ポイント。強打の遊撃手、天理・戸井零士内野手(3年)や大阪桐蔭時代に春夏連覇した二塁手の立大の山田健太内野手(4年)も徹底マークしている。左の強打者・早大・蛭間拓哉外野手(4年=浦和学院)にも注目している。

強力投手陣をさらに厚くするためにも、最速152キロ左腕で投打二刀流の日体大矢沢宏太投手(4年=藤嶺藤沢)、白鴎大の左腕曽谷龍平投手(4年=明桜)に熱い視線を送っている。社会人では大阪ガスの高卒3年目で最速151キロ右腕・河野佳投手(21=広陵)、高校生では投手として高い評価の近江・山田陽翔(はると、3年)らの名前も挙がっている。

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