オリックス吉田正尚外野手(29)が逆転優勝を引き寄せる。ソフトバンクが西武に敗れ、他力ながらリーグ連覇の夢がつながった。チームは2日、敵地で楽天とレギュラーシーズン最終戦。オリックスが勝ってソフトバンクが負ければ大逆転でV2が決まる。優勝条件はその1つしかないが、敵地仙台での運命の1日に、すべてをかける。相手先発は田中将だ。

背番号7はこの日、仙台への移動前に京セラドーム大阪で全体練習に参加。最終戦に向けて「勝ちたいです。(ビールかけは)1年間の苦労を一気に忘れるような雰囲気だと思いますので、皆さんと一緒に喜びを分かち合いたいです」と奇跡を信じて意気込みを語っていた。そして仙台入りした夜。午後9時45分にソフトバンクサヨナラ負けの一報が入り、希望が残った。

9月に打率4割1分3厘、23打点の猛威をふるった主砲のバットは、優勝争いの佳境で勢いを増すばかり。この日の練習でも気合をほどばしらせて次々と快音を響かせた。フリー打撃では5連続の柵越えも披露した。

活躍は個人タイトルにも直結する。現在88打点。トップで並んでいた西武山川が、ソフトバンクの胴上げを阻止してくれるサヨナラ2ランを放ったが、その分、2差をつけられた。そして迎える最終戦。昨年まで2年連続の首位打者は、初の打点王について「あまり気にしてなかったんですけどね。この順位にきちゃうと気になっちゃう。1番をずっと目指してやってきたので」と意欲を隠さなかった。

打点の中身にもこだわる。中嶋監督も「頼もしい」と目を細める最近の勝負強さは突出。「殊勲打の数は多くなっていると思う。そういう一打が大事になる。今年はもう1度、日本一にチャレンジすることを目指してスタートしたので、達成したいです」。143試合目の集大成。選手会長が、最高のエンディングを導く。【柏原誠】

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