村神様不発でも強いんヤ!! リーグ王者のヤクルトがチーム一丸、大技小技を絡めて「2022 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ阪神戦の初戦を制した。村上宗隆内野手(22)は2打数無安打に終わったが、1回2死、山田、村上の連続四球からホセ・オスナ内野手(29)が先制3ラン。その後も犠打や犠飛を絡めて加点し、6回にドミンゴ・サンタナ外野手(30)の2ランでとどめを刺した。アドバンテージの1勝を含めて2勝0敗とし、2年連続の日本シリーズ進出へ大きく前進した。

   ◇   ◇   ◇

「チームスワローズ」が持ち味の粘りとつなぎで、大事な初戦を勝ち取った。初回。2死から山田が四球で出塁すると、4番村上も8球粘って四球を選び、一、二塁とチャンスを広げた。続くオスナが阪神西勇の内角シュートを捉え、左翼席へCS初本塁打となる先制3ラン。助っ人が「短期決戦で先に先制してチームに勢いをつけたかった。一発で仕留めることができた」と振り返れば、高津監督も「2死走者なしから四球2つと本塁打で3点取ったわけですから。3番、4番の選球眼と、一発で仕留めた5番。非常にいい初回でした」と納得顔だ。

史上最年少で3冠王となった村上のマークが厳しくなるのは当然。この日は主砲が無安打でも、周囲が役割を果たした。3回先頭、オスナは近本が打球処理にもたつく間に次の塁を狙う意欲的な走塁で二塁を陥れると、三進後、サンタナがセンターから逆方向を狙ったチームバッティングで犠飛を放ち、本塁に迎え入れた。6回にはサンタナが「点を取られた直後だったので、流れを渡さないためにもすぐに取り返したかった」と試合を決める豪快な2ラン。2年目助っ人コンビがそろって3打点と、村神様ばりの活躍だ。

メジャーでシーズン30本塁打の実績があるサンタナは「僕とオスナは同じメンタリティー、同じ目標を持ってやっている。とにかくチームの勝ちに貢献したい気持ちがお互い強い。彼が調子を上げて周りをカバーしている姿を見て、さすがだなと思いました。あいつはいい選手だ」という。守護神マクガフも含め外国人選手も「フォア・ザ・チーム」の精神を強く心に秘めているのが今季のヤクルトの強み。この日も献身的なプレーで証明してみせた。

アドバンテージを含め2勝0敗と先行したが、高津監督は「今日は良かったと思うだけで、また明日の準備はしっかりしたい」。2年連続の日本一へ、油断なくチーム一丸で勝利を求めていく。【鈴木正章】

▼小川が15年ファイナルS<2>戦以来、CSでは7年ぶりの白星。プレーオフ、CSでのブランク勝利は18年上原(巨人)の10年ぶりが最長で、7年は81年村田(ロッテ)15年涌井(ロッテ)の7年ぶりに並ぶ2位タイのブランク勝利となった。なお、ヤクルトでCS通算2勝は石川、館山に次ぎ3人目の球団最多タイ。

○…山崎がCS初安打となる中前適時打を放った。「2番左翼」で先発出場。3点リードの2回2死三塁、阪神西勇に対し1ボールからの2球目、外角スライダーを中前にはじき返した。昨季CSでは3打数無安打。初安打で追加点をもたらし「ランナーが三塁だったので、とにかくコンパクトにランナーをかえすことだけを考えて打ちました」と振り返った。

▽ヤクルト山崎(2回2死三塁で中前適時打)「とにかくコンパクトに、ランナーをかえすことだけを考えて打ちました」