来季から広島で2軍打撃兼走塁コーチに就任する福地寿樹氏(46)が28日、マツダスタジアムで就任会見に臨んだ。

広島は今季26盗塁に終わり、12球団ワーストの数字。さらに球団歴代最少記録を更新してしまった。盗塁増へ白羽の矢が立ったのは現役時代に2度の盗塁王に輝いた福地氏。ヤクルトコーチ時代に育てた村上は今や、3年連続2桁盗塁を誇る。まずは2軍で走塁強化の下地をつくる。

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足が遅い選手でも盗塁は可能か-。元盗塁王の福地コーチはきっぱりと答えた。

「いけます」

今季球団ワースト記録を更新する26盗塁に沈んだ広島。かつてダイヤモンドを駆け回り、走塁からプレッシャーをかけていた、機動力は鳴りを潜めた。

「伝統である機動力は先輩方が築き上げてきたもの。チームカラーは引き継がれているし、これから先も引き継いでいくものだと思う」

自身も広島在籍時の03年には20盗塁を記録するなど、快足軍団の一員だった。

■教え子のヤクルト村上は3年連続2桁盗塁

指導を前に「イメージはできている」。今季3冠王の村上が、福地コーチの実績だ。「3冠王を取ってとんでもない選手になっているが、もともと(盗塁には)貪欲だった」。19年当時ヤクルトで1軍外野守備走塁コーチを務めていたころ、村上を指導した。今季も12盗塁を成功させ、3年連続で2桁盗塁をマークしている。20年には二盗、三盗、本盗の「サイクルスチール」を成し遂げ、走塁意欲の高い選手に育て上げた。

■今季広島は野間の7盗塁がトップ

かたや今季の広島最多盗塁数を誇るのは野間(7盗塁)。福地コーチは「原因が必ずあると思う。まずはしっかりそこを追究して整理していきたい」と、根本からこの数字と向き合っていく。「盗塁の面でちょっと少ない。寂しいなとみなさんも感じていると思う。0コンマ1秒でもいい。その積み重ね。仕事として、プロとして、選手として、最低限はやろうよと思っている」。

■広島へ恩返しのタイミング「今だと思って」

新井監督から要請を受け、熟考した。「悩んだが、力になりたいと僕自身思った。カープを離れてからまた何かしらの形で恩返ししたいなと思っていた。そのタイミングが今だと思って決断した」。05年シーズン以来に着る赤いユニホーム。久々の戦闘服は「機動力再建」を背負う重いものになる。【前山慎治】

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