日本ハム杉谷拳士内野手(31)が28日、札幌市内の球団事務所で「人生の前進会見」と銘打って今季限りで現役引退することを表明した。会見ではユニホームを脱ぐ決断を下した理由や、プロ野球生活での思い出を振り返り、後輩へのメッセージや両親や恩師らへの感謝の思いなども語った。また、12年から21年まで日本ハム監督だった侍ジャパン栗山監督のサプライズ登場に号泣した。

 

-「前進会見」とは?

杉谷 「プロ野球選手、杉谷拳士」は終わりですけど、今後に向けて人生、まだまだ出発したばかり。どんどん前進して、いつかは北海道のみならず、全国の野球ファンに恩返ししたい。栗山監督からも、いつも「前に進みなさい。拳士は拳士らしくやりなさい」という話もしてもらってました。そういった意味で、前進という言葉を使わせてもらいました。

-引退を決意したタイミング、理由は?

杉谷 シーズンが終わってから、たくさんの人に相談し、自分の将来のことだったり、ファイターズの将来のこと、体のこと、総合的に判断した上で、このような決断になりました。

-プロ野球人生を振り返って

杉谷 入団テストでファイターズに入り、何とか恩返しをしたいという思いで14年、頑張ってきました。北海道のファン、日本中のプロ野球ファンの方から元気をもらったと思っているので、お世話になった方々に恩返しをする番だなと思っています。

-ファンにも愛された

杉谷 北海道で初めてグラウンドに立ったことを鮮明に覚えていますし、あの時の歓声は僕の野球人生でも、ずっと忘れられないものになっています。

-後輩に伝えたいこと

杉谷 今、1人1人に「ありがとう」と返信しています。ただ、野村佑希っていう男だけは…。一番かわいがっていて、ものすごい才能を持っている選手だと思っていますし、ファイターズを背負っていかないといけない選手なんですけど、なんか人間の感情をあまり持ち合わせていないのか、あまりパッとしないLINEが来ていた。今後、自主トレも松本剛に付いて一緒にやると思うので(杉谷も自主トレの現場に)顔を出して、しっかりお説教だけはしたいなと思います。

-帝京時代の恩師、前田名誉監督への報告は?

杉谷 電話でも連絡しましたし、直接会って伝えました。「おぉー」って言っていましたけど「よく頑張ったなぁ」って。

-帝京野球部OBで大先輩の石橋貴明さんには?

杉谷 貴明さんにも直接会って、お話もさせてもらいました。「お前、なんで誕生日に会わなきゃいけねぇんだよ」って言いながら、(石橋の)誕生日前日に。「すいません、変なところに呼び出して」と。「これから協力できることはするし、一緒にスポーツ界を盛り上げようね」って、お話もいただいた。貴明さんには、これからもいろんな形でお世話になりたい。

-試合前練習でユーモアあふれるアナウンスをしてくれた、西武球団職員の鈴木さんへ

杉谷 連絡先も分からないので「今までたくさんのすてきなお言葉ありがとうございます。本当にいろいろありがとうございました」と(伝えたい)。

-両親への報告

杉谷 父親はボクシングをやっていて、すごく厳しい方でしたし、すみません…(涙を流す)。まず、父に「野球選手は一度、終えます」と。「これから未来に向かって前進します」と。普段は口数が少ないですけど、「よく頑張った」と言っていただいて。「お疲れさま」という言葉をいただきました。母親は帝京高校時代から朝4時に起きてご飯を一升炊いて、お弁当つくってくれて。「ありがとう」という言葉は伝えたんですが何を言われたか覚えていないくらいでした。

(侍ジャパン栗山監督から花束を贈呈され、号泣)

栗山監督 拳士、大丈夫か? おつかれさん。ここからだからね。頑張りましょう。お前、いつも俺に言っているだろ、泣くなって。拳士、大丈夫か?

杉谷 大丈夫です。

栗山監督 よっしゃ。長い間、本当にお疲れさまでした。

杉谷 いろいろ、ご迷惑おかけしました。

栗山監督 とんでもないよ、拳士。ここからなので。楽しみにしています。やり残したことはないですか?

杉谷 はい! 大丈夫です。これから前進しようと思っています。

栗山監督 ぜひ、いろんな勉強して。またファイターズに身を振ってくれることに期待しています。泣くな拳士。泣くな!