ドラフトがあった10月20日、友人から「金沢高の選手が指名されている」と連絡があった。強豪とはいえない母校。「どうせ石川県の金沢だよ」と高をくくっていたが、違った。MARCHあたりを目指す生徒が多い、普通の進学校、横浜市立金沢高校から、ソフトバンクの育成12位で飛田悠成内野手(17)が初めて指名された。

7日の指名あいさつを取材した。驚いた。飛田は内野手ではなく投手転向を見込んでの指名だった。「まさかという気持ちだった」。小学校時代から投手経験はなく、高校では遊撃手。3年間で公式戦先発は、今年の春季神奈川大会4回戦の桐光学園戦のみ。8回9奪三振完投も5失点だった。最後の夏も、2試合2回1/3に救援登板しただけだ。

昨冬、横浜高で成瀬(元ロッテ)荒波(元DeNA)と同期だった吉田斉監督(37)にキャッチボールで素質を見いだされた。投手練習を始めると、球速が133キロから141キロに上がった。今年3月、うわさを聞き付けた松本輝スカウトが練習試合の視察に訪れた。遊撃からの送球を見ると「すごい。これは投手だ。大きく育つ」と感じた。「普通の公立高校で、投手転向から半年で140キロ。手も体も大きい。伸びしろだらけ」。来季から4軍制となる。筑後のファーム施設で鍛えれば、千賀のように育成からの大化けが期待できると踏んだ。

中学時代は、元ヤクルトの渋井敬一監督が指揮する緑シニアの控え遊撃手だった。勉強は学年200人中30~50位程度と得意だった。文武両道を狙い、高校では午後7時に完全下校。横浜国大を目指していた。ドラフト直前、両親から進学を勧められたが「小さいころの夢」とプロ志望届を提出し、指名を受けた。周囲の99%は進学だが「自分がこの先、金沢高校を背負っていく。恥じない成績を残す」。千賀のように一流となり、同校OB、EXILEのHIROと会うことも目標に掲げた。

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