来季18年ぶりの「アレ(=優勝)」を目指す岡田阪神に朗報だ。国内フリーエージェント(FA)権を持つ岩貞祐太投手(31)、海外FA権を持つ西勇輝投手(32)の2人が9日、兵庫・西宮市の球団事務所で残留会見を行った。岩貞は宣言せず3年3億円、西勇は宣言残留の形で4年12億円でそれぞれ契約した。同じくFA権を持つ岩崎優投手(31)もすでに4年8億円で宣言残留しており、主力3投手の流出阻止に成功した。

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岩貞は熟考に熟考を重ね、ついに決断を下した。取得していた国内FA権を行使せずに、来季以降も阪神に残留することを表明。「阪神のユニホームを着て優勝したいという思いがぶれることはなかった」。球団へ行使の意思を伝える期日となる9日の朝に、最終的な決意を固めた。

昨年の契約更改での球団との話し合いが、ギリギリまで悩んだ要因の1つだった。球団は尻をたたくつもりで厳しい意見を左腕に伝えた模様で「チームに必要ないんじゃないかな。チームに居場所がないのであれば他で探すというのが自然な流れかな」と感じていたという。「自分にハッパをかけるという意味で厳しい言葉をかけてもらったのもあったと思う。それをバネに今年頑張った」。反骨心を胸に中継ぎとして自己最多の53試合に登板。11ホールド、防御率2・57の好成績につなげた。

尊敬する大先輩の背番号継承も、決断を後押しした。今季限りで現役を引退したオリックス能見とは14年から7年間プレーし、ともに自主トレを行うなど親交が深かった。かねて希望していた「14」を球団側から交渉中に提示され、「決して軽い番号ではない。自分が10年以上も憧れていた方がつけていた番号を言われた時には、ものすごく響きました。とてもうれしかったです」。

能見にも背番号を引き継ぐ可能性があることを伝えていた。「『そういうのは引っ張られずに、自分の判断をするべきだよ』という能見さんらしい言葉をいただいた」。9年間背負った「17」については「球団からは『14番でいくぞ』という形だったので、未練なくというか、次のステップにふさわしいこのタイミングでいただいたかなと思います」と感慨深げだった。

「自分が想像するよりもいい評価をいただいた」と、総額3億円の3年契約を結んだ。「もう3年全部優勝する、それしかないですね」。新たな番号と決意を胸に、チームのV奪取へ心血を注ぐ。【古財稜明】