“世界の村神様”が、またまた打った。「侍ジャパンシリーズ2022」第3戦の5回、村上宗隆内野手(22)が昨夏の東京五輪決勝から日本代表戦4試合連続となる2ランを右翼席へたたき込んだ。 代表戦4戦連発は史上初。試合前には円陣で声出しを担当し、この日が誕生日の近本を祝っていた日本の4番が頼もしく祝砲を挙げ、国際試合初陣となった栗山監督にも初勝利をプレゼントした。

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「村神様」は、狙い打った。1点リードの5回。4番村上は「2死一塁ということで長打を狙っていました」。カウント1-1から、オーストラリアの3番手右腕グロゴスキの投球が真ん中から内角へ食い込んだところを完璧に捉えた。「打ったのはチェンジアップ。球種を絞るというよりは、来た球を打つ意識でした」。本塁打が出にくいとされる広い札幌ドームでも、軽々と右翼席へ運んだ。

「村神様」の、有言実行弾でもあった。試合前の円陣で声出しを務めた。「近本さん、お誕生日おめでとうございます。試合は先制して、中押しして、ダメ押しして、しっかり勝ちましょう。いいですか! さあいこう!」。先制こそ許した試合展開となったが、2回に逆転してから欲しかった“中押し”の得点を自ら生み出し、この日が28歳のバースデーとなった近本への祝砲とした。

「村神様」が、止まらない。これで昨夏の東京五輪決勝から日の丸を背負って“4戦5発”。侍ジャパンで4戦連発は史上初だ。1年前のプレッシャーも経験したからこそ、事前情報が少ない相手でも対応できる強さがある。「国際大会では必ず出てくることなので、しっかり映像を見て、打席の中の感覚と照らし合わせていきました。何事も経験というのは大事。それが今日、生かせてよかったです」。来春のWBCを勝ち抜くために大事となる対応力も神がかってきた。

「村神様」に、少しも隙はない。10日の強化試合最終戦で期待される代表戦5戦連発には「ホームランというのは結果だけなので、しっかり自分のやるべきことをやるだけかなと思います」と、関心なし。あくまで照準は来春だ。「WBCに向けて、というのが大事なのでしっかり調整できるようにしたいです」。世界一奪還を目指す侍ジャパンには、ブレずに頂点だけを目指す「世界の村神様」がいる。【木下大輔】