阪神岡田彰布監督(64)が11日、来年2月の沖縄・宜野座キャンプに鳥谷敬氏(41=日刊スポーツ評論家)と赤星憲広氏(46=野球評論家)を臨時コーチで招へいするプランを明かした。両氏とも要請に前向きで、現在、日程を鋭意調整中。18年ぶりの「アレ(=優勝)」を目指し、一時代を子築いた伝説のV戦士2人に、守備と足技の極意を注入してもらう。

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就任1年目から「アレ」を目指す岡田監督が、とっておきの臨時コーチを連れてくる。「鳥谷も赤星も来るよ」。球団にプランを伝え、両氏も前向きだという。「やっぱり2月の、この戦力で戦うというところでの方がな」。来季の戦力構成が固まったところで、レジェンドV戦士の2人に最後の味付けを託す考えだ。

早大の後輩鳥谷氏には、一番の課題に挙げる二遊間に守備の極意を伝授してもらう。遊撃のレギュラーで05年優勝に貢献し、土の甲子園を本拠地にしながらゴールデングラブ賞5度の名手だ。「2月に来てもあんま教えることないかもしれんけどな。(この秋で)ようなってるわ」。小幡、木浪、渡辺諒らの成長に手応えを感じている岡田監督はそう冗談めかすが、鳥谷塾で完成形を目指す。鳥谷氏が阪神で臨時コーチを務めるのは21年の現役引退後初めてで、4年ぶりのタテジマ復帰。歴代2位の1939試合連続出場を誇る生きる伝説は、最高の教材だ。

「赤星も日本ハム行くんやったらこっち来いやって」。今年2月に新庄監督に招かれ、日本ハムの臨時コーチを務めた赤星氏も招集する。赤星氏は日本ハムナインに盗塁についての考え方や技術、バッテリーには盗塁を阻止するための考え方などを伝えたが、同様の赤星塾を阪神でも開講してもらう。03、05年の優勝に貢献した5年連続盗塁王のレッドスターが、4年連続リーグ最多盗塁中の機動力をさらにアップさせる。

「やっぱり、そら違うよ。何か選手もな」とV戦士の両氏から指導を受ける選手たちへの相乗効果は大きい。チームは2月11、12日に初実戦となる紅白戦を行うが、指揮官の希望はそれまでの10日間だ。「できれば紅白までにと言うたんや。それからは実戦ばかりになるからな。練習の過程の中で来てくれた方がな」。練習漬けの日々で教わる方が効果的との考えだ。

「あとは日程次第やな。(2月の)この間は仕事が入っていると言っとった。赤星はテレビの仕事も入ってるから、うまいこと日にちを合わせてな」。多忙な2人だけに鋭意、日程調整中だ。来年からは2軍も沖縄・うるま市でキャンプを張るため、実現すれば幅広い指導が期待できる。頼もしい教え子2人が、沖縄に駆け付ければ鬼に金棒だ。【石橋隆雄】

◆鳥谷敬(とりたに・たかし)1981年(昭56)6月26日生まれ、東京都出身。聖望学園-早大を経て03年ドラフト自由枠で阪神入り。2年目の05年に遊撃の定位置を獲得。04年から18年にかけての1939試合連続出場はプロ野球2位、12年~16年の667試合連続フルイニング出場は同5位。11年には最高出塁率のタイトルを獲得。徹底した猛練習と自己管理で、球団在籍中の出場2169試合、同2085安打はともに阪神最多。20年ロッテに移籍し21年引退。現役時代は180センチ、79キロ。右投げ左打ち。

◆赤星憲広(あかほし・のりひろ)1976年(昭51)4月10日生まれ、愛知県出身。大府-亜大-JR東日本を経て、00年ドラフト4位で阪神入団。1年目の01年から5年連続盗塁王。阪神での381盗塁は歴代最多。03年には1番今岡から中軸へのつなぎ役2番打者として、05年は60盗塁を決めた1番打者として、2度のリーグ優勝の立役者に。09年9月12日横浜(現DeNA)戦で負傷した「中心性脊髄(せきずい)損傷」のため、同年限りで引退した。170センチ、66キロ。右投げ左打ち。

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