えっ? レギュラー白紙!? 阪神岡田彰布監督(64)が12日、侍ジャパンの強化試合を終え高知・安芸市での秋季キャンプに合流した佐藤輝明内野手(23)に、愛情を込めたダメ出しをした。守備、打撃練習を見て「今日の動き見とったら分からへんわ」と、不動の三塁、クリーンアップ構想を白紙に戻す可能性を口にするほど。岡田阪神の主軸が務まるのか、今後の野球人生を左右する安芸での残り9日間になる。

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あきれ返った岡田監督ははっきり言った。「『これじゃあかん』と思うよ。オレは。一緒に練習してびっくりした」と、この日安芸キャンプに合流した佐藤輝の動きを見て、来季構想が崩れるほどのショックを受けた。全試合フルイニングで三塁とクリーンアップを任せるはずが「そういう予定やったけどな。今日の動き見とったら分からへんわ。ほんまに」と頭の中で白紙に戻りかけた。

ケージ後ろから見たランチ特打で佐藤輝は157スイングで柵越えは21本。隣ではキャンプ初日から岡田監督がアドバイスした大山が154スイングで41発と大きな差が出た。侍ジャパン初選出の佐藤輝は、他球団の主力選手が練習で逆方向へ多く打つ姿を学び、さっそくこの日試したが、岡田監督には物足りなかった。「(以前は)もうちょっと飛んどったやろ。それがなあ、左翼にこすったような飛球ばっかりとか、何か違うと思うなあ。強く振れないよ。コンパクトに打つ必要ないやんか。飛距離という人にはないすごいもんがあるわけやんか。それを生かさなあかん」と、ルーキー時代の昨年横浜スタジアムの右中間へ放った場外弾のような打球を待ち望んでいる。

1年目24本塁打で今季は20本塁打と減少。確実性を求め打率はアップしたが、岡田監督は「入団当時できとったのに、2年たって、どちらというと悪くなってるよな。飛距離とか。楽して打てていたんやろ。軽いスイングでも飛んどったんやろな。でもだんだん内角を速い球で攻められる。それを克服せなあかん。プロでやっていく以上」と、話し「やっぱり練習できなあかん」と練習不足が原因と断言した。

三塁守備も腰が高い。打撃でのスタンスも狭い。下半身が弱いからと見ている。「変えないと。そら自覚で。時間かかると思うよ。最終的には本人やからな。1年間、フルでできる体やな」。まずは残りの安芸キャンプでみっちり鍛える。佐藤輝も「鍛えます。全身鍛えます」と、望むところだ。岡田阪神を支える柱を任せるだけの能力にほれ込むからこその厳しい愛のムチだった。【石橋隆雄】

▼阪神平田ヘッドコーチ(佐藤輝と話し)「やる気満々よ! 下半身鍛えたら守備もよくなる、打撃もよくなる、走塁もよくなる。目指せ3割30本30盗塁目指せ~! 言うて」

▼阪神馬場内野守備走塁コーチ(三塁守備に)「なるべくメジャーリーガーみたいなね、パンパンってやるのではなくもう少し丁寧にやりましょうと。(股割りは)下半身の強化は守備だけでなく打つ方にもプラスになる。毎日鍛錬していけば慣れる。あとは真剣に取り組むかどうか。根気強くやります」

<佐藤輝明に関する岡田語録>

◆10月16日【監督就任会見】「大山がファーストで、佐藤がサード。全試合変えないですよ。代走も送らない。そういう気持ちでやらないと、中心選手でチームを引っ張っていけない。(現状については)佐藤は2年目ですけど本当に見ていてもう少し打てるんじゃないか。ホームランも24本と20本かな。もっと打てるんじゃないかと思うけど、ひょっとしてこれくらいの力の選手かなと、指導した時点でそういう風になるかも分からない。ハッキリ言ってね」

◆10月24日【秋季練習初日】「佐藤とかWBC(侍強化試合)があるから、それまでは(打撃指導は)あまり言わないようにしようと思って。帰ってきたら変えないといけない、変えると思うけどね」

◆11月11日【秋季キャンプ合流前日】「(打撃改造は)そらやらなあかんわなあ。基本的に下半身が弱い。スタンスが狭いいうことは重心が高いいうことやからな、結局は。狭かったら軽すぎるやんか。クルクル回って。力がない。一番変えなあかんのは佐藤かもわからん」

○…森木の地元高知で実施中の秋季キャンプに参加する可能性が消滅した。フェニックスリーグ中に首の張りを訴え、キャンプメンバーから外れていた。快方に向かえば途中参加する可能性もあったが、安藤投手コーチが「森木はもうずっと向こう(鳴尾浜)で。目いっぱい投げられる状態ではないので、こっちの合流はないです」と説明した。この日は鳴尾浜で別メニューで調整し、リハビリに専念していた。

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