森下翔太外野手(22)は中大の後輩・中前祐也(なかまえ・ゆうや)内野手(21)と苦楽をともにしてきた。リーグ戦では、主に森下が3、4番に座り、前を打つのが中前だった。今年の東都大学春季リーグではまさかの最下位。東洋大との入れ替え戦では、初戦を落とし、2部降格の危機に追い込まれた。

そこから、主力メンバーである2人は主将らとともに頭を丸めた。覚悟を決めて臨んだ試合から2連勝。残留が決まった瞬間、2人は抱き合った。中前は3年間背中を追いかけた森下を「野球をするモリさんは、周りに左右されない自分の芯がある人で尊敬しています。自分がチームを引っ張るぞという気持ちがすごく強くて一番頼もしかった」と振り返る。

中前は浦和学院(埼玉)で、2年時に遊撃手として18年夏の甲子園に出場し、8強進出に貢献。主将も務めた。森下は自らについて「自分は群れてナアナアになるより、黙々と練習をするタイプ」と話すが、中前は心を許せる後輩だった。高校時代はともに関東を代表する強豪で、厳しい練習に耐えた。同じような強い意志を持つ後輩とすぐに打ち解け、全体練習の終了後にともに居残り練習。寮近くの飲食店で食事をするのが日課だった。

グラウンドでは頼もしいプレーを連発する一方、私生活は後輩思いの一面がある。中前の誕生日には、洋服をプレゼント。仲良くなってからは毎年何かを贈った。オフの日は都内に出て買い物に行き、リフレッシュ。1年間同部屋の時期もあり、大人気ゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」を飽きるまでやりこんだ。中前は「負けず嫌いなのに、プライベートでは優しい人。先輩だからと壁もつくらない、とてもフランクな人です。今ももらった服を大切に着ています」と笑顔で語る。

中前は新チームの主将に就任。小さい頃から目指してきたプロ野球への道を切り開くため、勝負の1年を迎える。頼れる存在が新天地に旅立つことに「一番身近にいた人がプロに行ったので、おめでとうっていう気持ちだけど、寂しいですね(笑い)」と照れ笑い。森下は「全然問題ないですね(笑い)。あいつがプロに入ってくれるんで、また会える。自分も頑張るし、応援しています」とプロでの再会を願った。

お互い高め合いながら、心を許せる存在にも出会った中大の4年間。そんな森下を中学、高校時代からずっと気にかけてきた人がいる。【三宅ひとみ】