球界の功労者をたたえる「2023年野球殿堂入り」が13日、野球殿堂博物館から発表され、作曲家の古関裕而氏(享年80)が特別表彰で野球殿堂入りした。

特別表彰は、アマや審判員を含めて野球発展に顕著な貢献をした人が対象となる。古関氏は20年から候補入り。有効投票数13のうち、当選必要数(有効投票の75%)の10票を得た。昨年は当選必要数に1票届かず、殿堂入りを逃していた。

高校野球夏の甲子園でおなじみの「栄冠は君に輝く」をはじめ、阪神の「六甲おろし」、巨人の「闘魂こめて」、早大の「紺碧の空」など、多くの野球応援歌を作曲。20年に放送されたNHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルにもなった。

この日、都内で行われた通知式に出席した長男の正裕氏は「本日はこのような賞をいただきまして、本当にありがとうございます。私の父は運動は全くダメでして、運動神経が本当にありませんでした。ですので今日、野球の殿堂入りということは、多分本人は、もう死んでますけども、死ぬほどびっくりしてると思っております」とあいさつした。

◆古関裕而(こせき・ゆうじ=本名・古関勇治)1909年(明42)福島市生まれ。30年、日本コロムビアに作曲家として入社。戦前は「露営の歌」「暁に祈る」など。47年以降は作詞家・菊田一夫氏とのコンビで放送作品に注力。NHKラジオ・ドラマ「鐘の鳴る丘」「さくらんぼ大将」「君の名は」などの主題歌を発表。64年東京五輪の選手入場行進曲「オリンピック・マーチ」も作曲した。作曲作品総数は約5000。69年には紫綬褒章を受章。89年8月18日、脳梗塞のため死去した。

◆古関裕而氏の主な作品

31年 紺碧の空(早大応援歌)

35年 カレッヂソング(東京農大応援歌)

36年 六甲おろし(阪神タイガースの歌)

39年 野球の王者(巨人軍の歌)

47年 鐘の鳴る丘(とんがり帽子)

48年 栄冠は君に輝く(全国高等学校野球大会の歌)

48年 フランチェスカの鐘(二葉あき子さんのヒット曲)

49年 長崎の鐘

49年 イヨマンテの夜

50年 ドラゴンズの歌

51年 ニコライの鐘

53年 君の名は

53年 ひめゆりの塔

54年 高原列車は行く

55年 花売馬車

58年 オリンピック賛歌

61年 モスラの歌

63年 闘魂こめて(巨人軍の歌)

64年 オリンピック・マーチ

70年 我ぞ覇者(慶大応援歌)

77年 ああ甲子園(ドカベン挿入歌)