ゆらりと時計の5時方向に左足を引く。ヤクルトのドラフト1位吉村貢司郎投手(25=東芝)の代名詞「振り子投法」の始動部分。20日、埼玉・戸田球場の新人合同自主トレ第4クール初日、期待の即戦力がブルペンを沸かせた。

引き下げた反動を利用し、今度は左膝を胸につくほどにまで上げる。「足の勢いだったりタイミングを取るための流れ」と振り子動作で得た力をボールに伝え、育成ドラフト1位橋本星哉捕手(22=中央学院大)のミットを打ち鳴らした。

「ゼロからスタートするのではなくて、一連の動作で行くイメージをしっかり持つために、あの感じで投げていますね」。21年の都市対抗野球前に取り入れた投法。同年9月には最速153キロを計測した。

立って構える橋本に38球。「体を大きく使って投げ、タイミングの部分で指標となる球種なので」と、カーブも6球投じた。18日にも25球を投げ、この日はプロ入り2度目のブルペン入り。1月中に座った捕手への投球も示唆した。

春季キャンプの1軍スタートが決まり「気が引き締まり、責任感が出てきた」。臨時コーチで訪れる古田敦也元監督の名前を聞き「本当に楽しみ。年間通しての試合はアマチュア野球では経験していない。本当にためになると思うので積極的に聞きたい」と語った。前日19日には25歳の誕生日を迎えた。「支えてくれた人たちに恩返しがしたい」と記念の色紙に書いた文字は「感謝」。初心でプロの世界に挑む。【三須一紀】

◆吉村貢司郎(よしむら・こうじろう)98年(平10)1月19日、東京都生まれ。足立八中では「足立ベルモントボーイズ」に所属。日大豊山では3年夏の東東京大会決勝に進出もオコエ瑠偉(巨人)を擁した関東第一に敗れた。国学院大から東芝。大学、社会人2年目と2度のドラフト指名漏れを乗り越えてプロ入り。背番号は「21」。183センチ、85キロ。右投げ右打ち。

○…1軍キャンプスタートをつかんだドラフト5位北村恵吾内野手(22=中大)はキャプテンへの弟子入りを志願した。「自分は右バッターなので山田哲人選手に聞きたい。バッティングもそうですが長年どういった考えを持ってケガをしないようにやってきたのかも聞きたい」。積極性が売りで「レベルアップのために絶対に自分から話しかけるべき」と前のめりに話した。

◆キャンプメンバー ヤクルトの1、2軍キャンプメンバーが決まった。WBC代表の村上ら4人は1軍の浦添で調整する。山崎、原らは2軍(宮崎・西都)スタートとなった。

◆キャンプ日程 ヤクルトは2月キャンプの練習試合日程を発表した。12日DeNA戦(浦添)、15日ロッテ戦(糸満)、16日楽天戦(浦添)、19日ロッテ戦(同)を実施する。

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