日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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沖縄キャンプの現地取材では、上空を米軍のジェット戦闘機が飛び交い、オスプレイが旋回する光景に出くわす。つい見入ってしまうが、ここが沖縄であることを実感する瞬間でもある。

日米地位協定の抜本的見直しが提言されても、駐留米軍基地は存在し、航空機騒音、さまざまな事件がクローズアップされる。そんな“特別な地”でプロ野球キャンプは開催されてきた。

本来、沖縄の2月は閑散期だが、プロ野球が集結する最大の理由は温暖な気候だ。桜の見頃は1月下旬で、この時期に気温20度を越えるから体を動かすには絶好の環境といえる。

また米軍の関連施設、自衛隊が所在する市町村には、「基地交付金(国有提供施設等所在市町村助成交付金)」「調整交付金(施設等所在市町村調整交付金)」が使途が制限されない一般財源として、毎年度交付される。

各自治体はスポーツ、文化的施設の“ハコモノ”に資金投下しやすい。1年前からさらに充実したキャンプ地に出会うのはよくある話だ。プロ野球の誘致を狙う「沖縄」と温暖地を求める「球団」の思惑が一致するわけだ。

今年から阪神の2軍キャンプが県中部に位置するうるま市に移転した。米軍関連施設が多いCTA(セントラル・トレーニング・エリア)にあたる。阪神と同市は中長期的なキャンプ継続で合意したようだ。

うるま市観光振興課主事・宮城貴大は「市民からメールなどでご意見もいただくし、反応も良い。今後は安全面の強化も考えていきたい」と来春キャンプに向けての課題を挙げた。

そもそも沖縄におけるプロ野球キャンプは、『スポーツアイランド構想』の一環だった。スポーツ文化の醸成に向けて価値観を見いだしてきた推進計画も第2期(22~26年)に突入している。

沖縄県文化観光スポーツ部スポーツ振興課班長・黒田裕史は「第2期スポーツ推進計画」に関し、県民等が参画しやすい「インナー施策」、スポーツ関連産業振興で地域活性化を目指す「アウター施策」に取り組みを区別したと説明した。

「これ以上、球団数を増やすのは難しいので、集客力を上げることが大切だと思っている。いかに沖縄の魅力を発信しながら、消費単価を上げるかを考えている」

例えば「沖縄キャンプ攻略ガイドブック」を作成し、各キャンプ地を結ぶ周遊バスを運行する取り組みも行ってきた。黒田は「やはりレンタカーで移動するファンのほうが多い」と対策を講じていく。今後は離島の誘致もバックアップする構えだ。

今年8月には「FIBAバスケットボールワールドカップ(W杯)」が開催される。場所は21年に完工した県最大の多目的施設・沖縄アリーナ。八村塁(レイカーズ)、渡邊雄太(ネッツ)の出場が注目される。

コロナ禍で懸念された南国沖縄の「スポーツアイランド戦略」が再び熱気を取り戻した。 (敬称略)