日本ハムのドラフト2位金村尚真投手(22=富士大)が5日、札幌ドームで行われた楽天戦でオープン戦初先発し、3回35球を投げ、被安打1、4奪三振、無失点と好投した。無四球で持ち前の制球力も見せ、抜群の安定感を首脳陣にアピールした。先発適性テストは合格だったが、他の起用法も選択肢に残っており、ポジションを問わず貴重な即戦力として開幕1軍入りに大きく前進した。

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金村が抜群の制球力で次々と打者を打ち取っていった。4番浅村を含め4奪三振。最速150キロの直球を高い精度で投げ込み、ストライク先行の優位なカウントで攻め続けた。「自信がある真っすぐでカウントをつくれたのが一番良かった」と振り返った。

無四球で1イニング12球ペースの省エネ投球だった。富士大時代は制球力が高い評価を呼んだが、その能力は内野手を務めていた小学生時代から培われてきた。野手の送球フォームが今の投球フォーム原型になっている。「野手はテークバックが小さい。野手投げっぽい投げ方で、その分コントロールがいいのかな」と語った。

武器の直球だけでなく変化球にも進化の兆しを感じた。田中和からは124キロのカーブで三振を奪った。浅めに握る100キロ台のカーブとは対照的に深めに握って投げている。「(速いカーブは)空振りを取れる。速いのと緩いのを投げ分けています」。春季キャンプ中に上沢から教わったツーシームも1球試し、2回に阿部を遊ゴロに打ち取った。「大学時代も投げていたが、精度が良くなくて。上沢さんに教えてもらって良くなりました」。

先発ローテ入りに大きなアピール材料になったが、起用法は流動的だ。建山投手コーチは中継ぎ以降が手薄な現状もあり、先発起用のゴーサインは先送りした。「正直うれしい悩み。ブルペンが手薄なところもある。本当に五分五分」と話す。2月26日の阪神戦では9回に登板し無失点。抑えでも結果を残しており、残るは中継ぎのテストのみだ。金村は中継ぎにも意欲を見せており、「1イニングで飛ばせるのも面白い。本当に任されたところでっていう感じです」。期待の右腕は任されたポジションで仕事をきっちりとこなし、開幕1軍をつかみにいく。【石井翔太】

○…終盤に試合をひっくり返され、オープン戦4戦目で初黒星。「救援陣」という課題が浮き彫りに。3-0の7回、中継ぎで経験豊富なロドリゲスが1失点。8回は育成4位山本晃大投手(23=BC信濃)が登板も、3連続四球で1死を取るのがやっと。さらに新加入の松岡洸希投手(22=西武)が満塁弾を浴び逆転を許した。新庄監督は「山本君、松岡君。チャンスはああいうところでつかまないとね」と、厳しいコメントを残した。

○…清宮が6回、“札幌ドーム惜別弾”を右翼席へかけた。昨季までの本拠地は苦い思い出の方が多かった。新球場では「いい思い出が沢山できれば」と、明るい未来を信じる。侍ジャパンのサポートメンバーに選ばれ、中日戦で2ランを放った万波を「うらやましかった」と嫉妬。「ここで結果を出した先に世界が待っていると思うので、目の前の試合を一生懸命やりたい」と見据えた。

○…先発枠を狙う田中正が2番手で登板し、3回1安打無失点。4奪三振も、2四球と変化球の精度に課題を残し「70点くらい。ストライク先行で、どんどん行きたかったんですけど…」と自己採点した。「プロに入って先発をしたことがないので、マウンド上で覚えていくことが多い。結果を恐れず一生懸命やりたい」と意気込んだ。

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