DeNAに、サイ・ヤング賞右腕が加わる。25年ぶりの優勝に向け、前ドジャースのトレバー・バウアー投手(32)を獲得することが13日、分かった。近日中に発表される。

メジャー通算83勝69敗で、レッズ時代の20年にサイ・ヤング賞を獲得。21年6月に女性に対する暴行疑惑が浮上し、DV規定違反で長期出場停止処分を受け、23年1月にドジャースから自由契約とされた。球団側はMLB、本人との面談など慎重に精査。NPBでのプレーに問題はなく、獲得に至った。

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「ハマの番長」率いるDeNAに、Vへの使者として、超大物メジャーリーガーが海を渡ってくる。水面下で先発陣の補強を画策する中、白羽の矢を立てたのが前ドジャースのバウアーだった。レッズ時代の20年にサイ・ヤング賞を獲得。メジャー屈指の先発投手で、2ケタ勝利を5度マークし、メジャー通算83勝69敗、防御率3・79を誇る。

慎重に調査を重ねた上で、獲得を決めた。20年オフにドジャースと3年契約を結んだが、21年6月に女性に対する暴行疑惑が浮上し、制限リスト入り。当初は324試合の出場停止処分を受けたが、昨年12月に異議申し立てし、処分期間が194試合に短縮された。今年1月にメジャー40人枠から外れ、ウエーバーにかけられたが、獲得球団はなく、自由契約とされた。

NPBの複数球団が注目する中、球団側はMLBに確認し、バウアーとも複数回話し合った。暴行疑惑について、否定するとともに、ロサンゼルス高等裁判所が女性の訴えを却下したことなども踏まえ、NPBでのプレーに問題はないと判断。出場停止処分で昨年は登板はなかったが、自主トレを継続し、コンディション面も問題なく、電撃オファーで獲得に至った。

先発陣の柱として、大きな期待を抱かせる。バウアーが加われば、WBC出場中のエース今永、現在は故障で2軍調整中の大貫を軸に、開幕ローテ入りが確実な石田、ガゼルマン、浜口ら強固な先発陣が完成。開幕ローテ入りを目指す笠原、上茶谷、東、平良、小園らも入れ、層の厚さはリーグ屈指となる。

ひそかに追い続けた存在だった。バウアーは19年12月に神奈川・横須賀市の球団施設「DOCK」を訪問。日本の野球文化やトレーニングに触れ、おもてなしに感激した。世界最高峰の舞台でNO・1投手の称号を手にし、卓越した技術や知識、思考は木村球団社長が昨年1月に公言した「20年後の世界一」に向け、最強のピースとなる。

◆トレバー・バウアー 1991年1月17日生まれ、米カリフォルニア州出身。カリフォルニア大ロサンゼルス校から11年ドラフト1巡目(全体3位)でダイヤモンドバックス入り。12年に三角トレードでインディアンス移籍。15年に初の2桁勝利となる11勝を挙げ、初めて規定投球回に到達。16年にはワールドシリーズ2試合に先発。19年7月に三角トレードでレッズ移籍。コロナ禍のため短縮シーズンになった20年に防御率1・73で最優秀防御率、サイ・ヤング賞を獲得した。20年終了後FAとなり、21年ドジャースと契約。ドメスティックバイオレンス(DV)規定違反で出場停止処分を科された22年は大リーグ登板がなかった。185センチ、93キロ。右投げ右打ち。

◆DeNAの外国人選手事情 現在、支配下では投手でエスコバー、ガゼルマン、ウェンデルケン、野手ではオースティン、ソト、アンバギーが在籍する。勝利の方程式の一角のエスコバー、先発ローテのガゼルマンは1軍当確。WBCプエルトリコ代表のソト、アンバギーも開幕1軍が確実視される。オースティンは右肘手術の影響で開幕は2軍で、ウェンデルケンも急性腰痛で2軍調整中。

◆過去に来日した主な大物助っ人 最近では13年に大リーグ通算434本塁打のアンドリュー・ジョーンズ外野手が楽天入り。26本塁打、94打点で球団初Vに貢献した。87年、ヤクルトに入団したボブ・ホーナー内野手は78年MLBドラフト全体1位でブレーブスに入団し、新人王を獲得。来日4試合で6本塁打を放つ衝撃的なデビューで旋風を巻き起こした。95、98年にロッテでプレーしたフリオ・フランコ内野手はレンジャーズ時代に首位打者。投手では56年にMVP、最多勝、初代サイ・ヤング賞に輝いたドン・ニューカム(ドジャース)が、「ニューク」の登録名で62年中日入団。主に外野手としてプレーし、1試合だけ先発登板した。90年にダイエー入りしたリッチ・ゴセージは来日前に3度のセーブ王になり、113勝、307セーブの実績を挙げていた。昨季途中、ロッテに加入したオスナ(現ソフトバンク)はアストロズ時代の19年に38セーブでセーブ王。