ここにもおるで、未来の侍候補! 阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22=中大)が、地元・横浜で2号2ランを放った。

DeNAとのオープン戦に「6番右翼」で先発。7回1死一塁で左腕石川の変化球を左翼席へ放り込んだ。球団の右打ち新人のオープン戦2本塁打は87年八木以来。マルチ安打で打率はチームトップの3割3分3厘。即戦力ルーキーが早くも猛虎打線になじんだ。今から開幕が待ち切れない。

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森下が懐かしのハマスタで大暴れした。4点リードの7回1死一塁。カウント2-2と追い込まれたが、抜群の対応力を見せる。DeNA石川の外角チェンジアップに体勢を崩されながら、とらえた。打球はぐんぐん伸び左翼スタンドへ。オープン戦2号となる2ランでとどめを刺した。「うまく拾えたかなと思います。入ってよかった」。ホームベースを踏んだ後、ベンチ前では「シャーッ!」と腕を回しながら雄たけびをあげた。「もっと(ポーズを)固めていきたいなと思います」と笑った。

球団の右打ち新人がオープン戦で2本塁打を放ったのは、87年八木裕2本以来36年ぶり。9回にも痛烈な右翼線二塁打を放ち、2安打2打点。「ハマスタ自体久しぶりだったので、すごい懐かしかった」。横浜スタジアムでは東海大相模で通算57号となる2ランを放った。思い出深い球場で今季から敵地になるが、大暴れの予感だ。

快進撃が止まらない。2月26日の日本ハムとのオープン戦(名護)では、21年の新人佐藤輝以来の猛打賞を記録。計9試合で2本塁打を含む打率3割3分3厘は、チームトップ&12球団4位の成績。岡田監督も「だいぶ慣れた感じがするな。まだまだ新しい投手と当たるけど、追い込まれてからもうまく対応するんちゃうかな」と期待を膨らませた。

森下家にとっても、特別な1日になった。父善文さん、母ゆりさんがプロ入り後、初めて生観戦。野球を始めたのは父がきっかけ。小学生の頃に「野庭日限(のばひぎり)フェニックス」で善文さんからコーチ、監督として指導を受けてきた。「いい姿を見せたい」と口にしていた森下は「(プロ入り後)直接見るのは初めてなのでよかった。シーズンでも打って、もっと親孝行したい」と声を弾ませた。即戦力ルーキーがシーズンでも故郷で大きな放物線を描く。【三宅ひとみ】

○…父善文さんと母ゆりさんは息子のアーチに感無量だった。ゆりさんは「もうホッとしました。よかった~と思って」と笑顔。善文さんは「感動しかないですよね。プロになって初めてここで見たので。活躍とかではなく、みんなに愛される選手になってほしいです。もう十分、親孝行してもらっているから」とスタンドからあたたかく見守っていた。

 

○…4番大山が、久々に快音を響かせた。7回、DeNA3番手石川から、三遊間を破るヒット。11日の日本ハム戦の第2打席以来、11打席ぶりのヒットだった。打撃の調子が上がらず、オープン戦は13日まで8試合で打率7分1厘と振るわなかった。この日も3打席目までは2四球と中飛だったが、ようやくHランプがともった。岡田監督は「そらようなっていかなあかんやん? 徐々にあげて行けばええやん」と主砲の復調を期待した。

○…原口がオープン戦9試合目の初スタメンで気を吐いた。7番DHで出場。初回に浜口から左前打を放つと、1点を追う6回1死満塁は2番手宮城の変化球をとらえ、左前に逆転の決勝2点打を運んだ。4打席立ち「代打とスタメン(DH)はちょっと感覚が違うので良かったです」と笑顔。オープン戦打率を3割8厘とし、岡田監督が右の代打の切り札を期待する男は「いい状態で打席に立てている」と充実の表情だ。

○…遊撃木浪が手痛いミスを犯した。6点リードの8回2死満塁で、DeNA上甲の強いゴロを捕球。だが二塁への送球が乱れ二塁手植田がキャッチできなかった。富田が後続を抑えたため1点で済んだが、大量点につながりかねないプレーだった。打撃では6回に押し出し四球を選び、8回には二塁打を放つなど3打数1安打1打点。定位置を奪うには、守備の安定が求められる。

○…今季も救援投手を務める岩貞が、9回を締めくくった。5点リードの状況で4番手で登板。1死から四球を出したが、後続を断って危なげなく1イニングを無失点に抑えた。先発起用も考えていた岡田監督から、9日に中継ぎでの起用を伝えられ「しっかり戦力になるように」と意気込んでいた。11日の日本ハム戦に続き、2試合を無失点投球。昨季53試合に登板した左腕は今季も頼もしい。

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