ただいま、どすこ~い!! 西武山川穂高内野手(31)が、世界一をつかんだWBCからの帰国後初の実戦で、いきなり本塁打をかっ飛ばした。

本拠地ベルーナドームでの長い滞空時間の1発は、侍ジャパンメンバーによるWBC後の第1号。世界一を決めてから76時間10分後のアーチだった。6日後の「3・31」にペナント開幕を控えた新生松井ライオンズに、何とも頼もしい主砲が帰ってきた。

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山川の右手からすぐ、バットがこぼれた。確信弾。打球の行方からは目を切らず、確かめた。

「あれくらいが僕は一番好きなんですよ。もっと飛ぶとか、もっと弾丸ライナーでいくとか、ホームランの中にもいろいろ種類はありますけど、今日のホームランは僕は好きです」

午後3時53分、6回1死の第3打席。DeNAガゼルマンの146キロが甘く入った。16時間のフライトを経て帰ってきた主砲の放物線は、滞空時間6秒4。左中間スタンド中段で白球が跳ねた。

76時間10分前、世界一の輪にいた。WBCでは通算7打席1安打、2打点。悔しさと優勝の達成感。「半分半分ですよ。悔しいというか、もうちょい試合に出たかったなというのは」。この日は慣れ親しんだ場所で4打席。「出ることは楽しいですし、4打席あるのはすごくいいなと、やっぱり思いましたね」。

悔しいは“苦しい”とは違う。「いつもスタメンを聞くたびに『あぁ、出てないな~』と思うのはありました。でもジャパン中ですし。岡本と牧もファーストできるし、みんなバカバカ打ってる。僕が出れない。何も文句ないですし、誰も悪くない。僕がいくら出ていくら打ちまくっても優勝してなかったら意味なかったので。そういう意味で、あの結果は最高です」と金メダルに胸を張れる。

疲れはある。バイタリティーが上回る。26日には一塁守備にもつく予定だ。「僕は今年も必ずホームラン王と打点王、特にホームラン王は絶対とるし、それによってチームが優勝に近づくはず」と信じる。27秒半かけてダイヤモンドを回り、ベンチ前で両手を挙げる。1万人近くのどすこ~いが、まるでバンザイのよう。「開幕戦はきっと超満員であってくれるはず」。次なる歓喜へ。みんなで祝う1年にする。【金子真仁】

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