阪神近本光司外野手(28)が、日刊スポーツで本音をつづるコラム「研鑽」(けんさん)の第3回で、独自の「不調脱出論」を展開した。

交流戦は21打席連続無安打の期間もあったが、原因はメンタルにあると分析。復調の鍵に「シンプルな思考」を挙げた。23日からは交流戦初Vで勢いに乗り、2・5差で迫る2位DeNAと敵地で首位攻防3連戦。昨季から10連敗中のハマスタで1番が完全復活し、勝利を導く意気込みだ。【聞き手=中野椋】

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日刊スポーツの読者の皆さん、阪神タイガースの近本光司です。交流戦が終わりました。安打がなかなか出ない期間もありました。14日のオリックス戦後には取材で「つらかった」とも言いました。今回は僕にとって不調とは何か、どう向き合うのか、そのあたりについて話していきたいと思います。

僕は不調とは、「打撃の状態の不調」と「メンタルの不調」の2つに分かれると思います。交流戦期間中のそれは、メンタルの方でした。

きっかけは楽天戦でした。初戦第1打席のレフト線寄りのフライアウト。そして、その試合の7回、浅村さんにジャンプして捕られたセカンドライナー。2戦目の第5打席のセンターへのライナー性の当たり。3戦目の7回2死満塁で右翼に好捕されたフライ…。

内容は悪くない。打つポイントもいい。だけど打球が正面にいく。ファインプレーにされる。ヒットだったのがヒットじゃなくなる。打撃の状態はいいけどヒットが出ないとなれば、正直、めっちゃつらい。これがメンタルの不調につながってきます。

メンタルの状態は、例えば、ボールの見逃し方にも影響してきます。メンタルの状態がいい時は、しっかりと「打ちにいく中でボール球を見逃すこと」ができている。「ポジティブ」に見逃していると言えます。この場合、少々厳しいボール、例えばアウトローいっぱいの、コースにビタビタのボールも打ちにいけます。

メンタルの状態が悪ければ、そういったボールを、「打ちにいかずに見逃す」ことが多い。同じ厳しいコースでも、すぐに「ボールや」って決めてしまう。だから、結果的に見逃し三振の場面もありました。

今回の場合、打撃の状態はよかった。そこでいろいろと変えてしまったら、もっと沼にハマっていきます。何が正解なのか、何が間違っているのかが分からなくなる。メンタルの状態が悪いと、「あれもしなきゃ」「これも考えないと」と、いろいろ考えてしまうものですが、打撃の状態がいいなら、そんなに考えることもなくていい。むしろ、メンタルをいかに維持できるか。メンタルを悪くさせないように、自分が自分にしてあげないといけないことを考えます。

そこで大切なのは、意識するテーマを1つに絞ることです。「エッセンシャル思考」というんですが、できるだけ考えをシンプルにしたい。だから今回は、どのコースにきたとしても「ボールの内側を打つ」ということだけを考えました。内側を打てば必然的にボールは上がるし、セカンドゴロも少なくなる。それを意識して、バッティング練習にも臨んでいました。

今回の経験は、いかにメンタルが大切かを教えてくれています。メンタルの状態が悪ければ、打ちにいけていたボールですら、打てなくなっているというのが分かりましたから。打撃の状態が悪くてもメンタルの状態が良ければ、むしろヒットは出たりするんです。今はできるだけシンプルに、やるべきことをやっていくだけです。(阪神タイガース外野手、2面に続く)

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