<中日2-5阪神>◇3日◇バンテリンドーム

阪神ジェレミー・ビーズリー投手(27)が、来日初勝利を挙げた。

今季最長の5回2/3を投げ1失点。1日に第1子となる長男ウエスリーくんが誕生したばかり。新米パパが大仕事をやってのけた。

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ビーズリーには絶対的な宝刀がある。ダイヤモンドバックス時代の20年に完成したというスライダーの曲がり幅は「15から16インチくらいだよ」。平均して40センチほど鋭角に曲がるそれは、エンゼルス大谷翔平の武器であり、大リーグでトレンドになっている「スイーパー」といえる。

この日も投球の3割弱をスイーパーが占めた。3回、仲地が犠打を試みたが、外角スイーパーで阻止した。「日本のボールの方が動きやすい」と、130キロ台前半でベースの端から端まで動くから、簡単にバントもできない。鳴尾浜でトラックマンのデータをチェックした2年目の森木は「見たことない曲がり幅の数値」と目を丸くさせ、バッテリーを組んできた中川も「ビーズリーのスイーパー、えぐいっす」とうなる。

2軍生活中には毎日のように若手投手にアドバイスを送ってきた。石井、森木、茨木、佐藤蓮…。球団通訳も「教えたがりなんですよ」と苦笑いするほど、炎天下でも身ぶり手ぶりを交え助言する。「モリキやサトウレンのカーブ、僕も投げてみたいと思ったんだ。彼らとは何でも教え合える、良いチームメートになりたいんだ」。異国で成功へのヒントをつかもうと、必死に毎日を過ごしてきた。

森木に「サングラス変じゃない?」とイジられると放送禁止用語で応戦。「カモン!」と鳴尾浜のトレーニングルームに呼び寄せ、レスリングのポーズを取り「バトルだ!」とおどけてみせたこともある。

佐藤蓮と神戸・三宮の焼き鳥屋で食事を楽しんだ際には、ストイックに? アルコール類は口にしなかった。「アスリートだから飲まないって? ノー! アルコールが好きじゃないだけだよ(笑い)」。研究熱心で、おちゃめで、愉快。絶対的な武器と愛すべきキャラクターの持ち主だ。【阪神担当 中野椋】

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