ヤクルトは巨人の4番にやられた。岡本和真に2戦で4被弾。特にこの日の決勝弾について、注目したい。
同点の8回1死、セットアッパー清水昇投手(26)がカウント3-2から投じた125キロフォークを左翼席に運ばれた。
カウント3-1から投じた126キロフォークはファウルに。続く決め球もフォークを選択した。この勝負のポイントにバッテリー間の微妙なズレがあった。
巨人の6番にはこの日、猛打賞の大城卓が控えていた。1-1の同点。1失点も許されない、しびれる状況に、清水の頭にその事実がちらついた。「後ろに3安打の大城さんがいて、フォアボールを出したくないという気持ちの部分で(ストライク)ゾーン内に行ってしまった」。
一方、女房役の中村悠平捕手(33)は四球でもいいと考えていた。「(清水との)意思疎通でもっとできたところがあった。ジェスチャーで、もっとはっきりとやってあげるべきだった」。
正解はフォークだったのか、直球だったのか。「正解はないんですけど。あそこは真っすぐ…、難しいですね。でも真っすぐを行って打たれたら、状況的には一番やってはいけないと思う」。
続けた。「僕はフォアボールでも良いかなと思っていたので。ボールゾーンに誘って乗らなかったらしょうがないかなと思っていた。それがストライクゾーンに残ってしまったので、そこはピッチャーに伝えるべきだったかなと思います」。
勝負のあやで、トップアスリートがどのような思考回路で「選択」をしているのかの一端が分かる2人のコメントだった。記事として結果論を書くのは簡単だが、彼らはその「選択」をした直後に、結果の明暗が出る。「明」が出れば歓喜の渦に。「暗」が出れば、ため息の底に。それが毎日のように続く。
中村は言った。「彼とはこれからも対戦する。3週間後の東京ドームではしっかり抑えたい」。負けた経験が自らを成長させる。彼らはそれを知っている。【三須一紀】



