楽天松井裕樹投手(27)が、本拠地での通算100セーブを達成した。1点リードの9回に3番手として登板。3者凡退で仕留め、リーグトップとなる今季36セーブ目を挙げた。同一球場100セーブは史上6人目、パ・リーグ2人目。長くチームを支える守護神が締め、3位ソフトバンクとの差を1・5ゲームに縮めた。

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9回2死。松井裕は、野村勇を中飛に打ち取ったのを確認すると、左手を天に突き上げ、顔をほころばせた。3位ソフトバンクとの直接対決で逆転勝利。スタンドからの歓声をかみしめた。通算233セーブ目で、本拠地100セーブ。「割合的には、ホームのファンの皆さんに、多く勝ちを見せられてないということ。情けない限り」とファンを第一に思う。

この日から本拠地6連戦。自身がマウンドで仕事を果たせば、逆転CS進出が大きく近づく。そんなチームを、不思議な力が後押ししてくれる。ホームゲームで着用し続けているのは、「FANS’ユニホーム」。チームカラーのクリムゾンレッドのグラデーションを主体に、宮城で「伊達の勝ち色」と呼ばれるヴィクトリーネイビーを差し色に入れている。三日月のかぶとで戦い抜いた伊達政宗にあやかっている。

今季着用試合は13勝3敗。当初は期間限定だったが、縁起を担いで延長し、必然的に松井裕が着て登板することも多い。「これで準備していると、なんか今日もいけるんじゃないかって勝手に思える。あやかるものにあやかって、最後までこれでいいんじゃないですか。しかも『ファンズ』ってついているところがいい」と話した。

ももいろクローバーZがセレモニアルピッチを行い、台湾の人気チア・リンシャンが応援に駆けつけた一戦。チーム、ファン一丸となって、勝利をつかんだ。最後を締めた松井裕は「(セーブ記録を持つ)先輩たちの実績や存在感には全然届いていない。いろんな、野球以外の部分でもっと存在感のある人間になれるように過ごしていきたい」と力を込めた。【湯本勝大】

 

◆同一球場での100セーブ 松井裕(楽天)が6人目。他はバンテリンドームで193セーブの岩瀬(中日)、神宮で118セーブの高津(ヤクルト)、甲子園で114セーブの藤川(阪神)、ZOZOマリンで114セーブの益田(ロッテ)横浜で103セーブの山崎(DeNA)がおり、パ・リーグでは益田に次いで2人目。

 

▽楽天石井監督(小深田の適時失策で一時逆転を許したが、勝利)「今日はインタビューを受けるつもりはないです。小深田のミスで失点したが、小深田の足がないと逆転までいけなかった。そこで村林がすごくいい演出をしてくれて、皆が最高のゲームをしてくれた。これ以上言うと泣いちゃうので、また明日」

▽楽天小深田(7回に適時失策で勝ち越しを許したが、直後の攻撃では四球で出塁し、村林の2点適時二塁打で生還)「取り返さないといけないと思った。村林ありがとうという気持ちでした」

▽楽天村林(7回2死一、三塁で左翼へ逆転の2点適時二塁打)「うれしいですね。けど、僕だけじゃないので。つないでくれて、いいところで回ってきたので結果を出せて良かったです」

▽楽天則本(7回4安打2失点で今季8勝目)「もう別に僕につかなくても、チームが勝てばそれでいいと思う。今日に限っては僕に勝ちがつきましたけど、今日は一番いい勝ち方だったと思います」