59年ぶりに「関西シリーズ」が実現する。オリックスがロッテに勝ち、4勝1敗として3年連続の日本シリーズ進出を決めた。ロッテの粘りに苦戦しながらも、投手力と打線の底力で勝ちきった。日本シリーズは28日にパ・リーグ本拠地の京セラドーム大阪で開幕。2年連続日本一を目指す中嶋聡監督(54)は「熱く盛り上げる」と力強く宣言し、阪神岡田彰布監督(65)との名将対決に挑む。

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激戦を終えたグラウンドで、中嶋監督は高らかに宣言した。「熱いゲーム、絶対やりたいです。皆さんが待ち望んでいたと思います。関西シリーズ、本当に熱く盛り上げたいと思います!」。熱狂的な阪神ファンにも負けないオリックスファンが、割れんばかりの拍手で応えた。

初回に森の2ランで先制するも、終盤に2本のソロを許して、終わってみれば1点差ゲーム。「本当にしんどいゲームばっかりで、ほっとしています」。ファーストステージを劇的に勝ち上がってきたロッテとの戦い。いつも冷静な指揮官も、率直な思いをこぼした。「正直のまれるかなという気持ちも少しはあったんですけど、本当にいいゲームができてうれしいです」。投手が最少失点で踏ん張り、ここぞの場面で野手が決める。チーム一丸のオリックスの戦い方で、日本一への挑戦権を手にした。

CSも全試合で先発オーダーは異なり、レギュラーシーズンから数えて通算147試合で139通り。相性、状態の一番いい選手を使う。変わらぬ戦い方ができるのは、前向きな競争があるからだ。

リーグ3連覇を達成し、再始動した9月22日。全体練習前の円陣で、水本ヘッドコーチが語りかけた。「なんで監督が舞洲に試合を見に行ってるか分かるか?」。中嶋監督は戦力把握のために2軍視察へ。確約されたポジションはない-。歓喜の瞬間もつかの間、次の頂点へすぐに戦いは始まった。

投打のMVPを挙げた岡田監督に対し、中嶋監督は「全員だと思います」とねぎらった。選手、コーチ、ファンも巻き込んでの“全員野球”で2年連続の頂へ。「タイガースの応援は本当にすごいと思いますけど、絶対に負けてないと思います。皆さんの応援がもっともっと必要になります。よろしくお願いします!」。指揮官の音頭に乗って、熱く戦う準備は出来ている。【磯綾乃】

 

▼阪神は、05年に導入された交流戦で、オリックスに対し通算32勝33敗3分けで勝率4割9分2厘、負け越しが1。前年22年まで31勝31敗3分けと全くの五分だったが、今季の対戦で1勝2敗に終わり、負けが先行した。なお甲子園では16勝15敗2分けの5割1分6厘で勝ち越しが1、京セラドーム大阪では12勝15敗1分けの4割4分4厘で借金3(他の球場では4勝3敗)。

▼なお1リーグ時代に阪神は、オリックスの前身阪急と177試合対戦している。初顔合わせは「第1回日本職業野球リーグ戦大阪大会」で、1936年(昭11)5月1日(甲子園)。延長10回裏2死一、二塁で阪神先発の藤村富美男は阪急の宇野錦次を平凡なフライに打ち取ったが、中堅の平桝敏男が落球しサヨナラ負け。阪神は球団創立3試合目にして初黒星を喫した。これに奮起したのか、阪神は阪急に112勝61敗4分け、勝率6割4分7厘と圧倒した。

▼オリックスが3年連続15度目の日本シリーズ出場を決めた。シリーズに3年以上続けて出場は17~20年ソフトバンク以来12度目。オリックスは阪急時代の67~69年、75~78年に次ぎ3度目で、3年以上連続出場の回数は巨人、西武(西鉄含む)ソフトバンク(南海含む)に並んだ。CSが導入された07年以降は17~20年ソフトバンクに次いで2度目だが、ソフトバンクの公式戦順位は優勝→2位→2位→優勝。07年以降にリーグ3連覇した07~09年巨人、12~14年巨人、16~18年広島は3チームとも連覇中に1度出場を逃しており、CS導入後にリーグ3連覇でシリーズ3年連続出場は初めてだ。

▼シリーズは阪神と対戦する。阪急時代を含めて阪神と戦うのは初めてで、今年の阪神-オリックス戦はシリーズ通算29カード目。関西を本拠地にする球団同士の対戦は64年の阪神-南海戦以来、59年ぶり2度目だ。阪神の岡田監督は05年以来のシリーズ出場に対し、中嶋監督は3年連続で、監督1年目から3年連続出場は86~88年森監督(西武)に次いで2人目になる。「18年ぶりの岡田監督」と「3年連続の中嶋監督」、どちらに軍配が上がるか。

◆64年の日本シリーズ 阪神と南海(現ソフトバンク)が対戦。ともに電鉄が親会社。阪神は梅田、南海は難波と、大阪の北と南の中心地にターミナル駅を置き、大阪市の大動脈となる街路の名から「御堂筋シリーズ」と呼ばれた。2勝3敗と王手をかけられた南海はスタンカが2日連続完封勝利をマークし、4勝3敗で日本一。第7戦は東京五輪開会式の10月10日と重なり、甲子園の観客は約1万5000人にとどまった。その後の関西には阪神、南海の他に阪急(現オリックス)、近鉄もあったが、日本シリーズでの関西対決はなかった。

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