今年も「運命の1日」がやってきた。プロ野球ドラフト会議が26日、都内で行われる。「ドラフト候補に聞く」最終回は、仙台大・辻本倫太郎内野手(4年=北海)。168センチと小柄ながら、パンチ力ある打撃、広い守備範囲を誇る遊撃手だ。今春の全日本大学野球選手権8強入りに貢献し、日米大学野球選手権優勝を経験した大学日本代表は、目標に「ゴールデン・グラブ賞と3割を常に打てる選手」を掲げ、指名を待つ。

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自分を信じ、運命の1日を迎える。4年秋は全11試合に3番で起用され、打率3割1分8厘、2本塁打、10打点。自身初の最多打点賞を獲得したものの、チームは東北福祉大にリーグ3連覇を阻止され、学生野球を終えた。ドラフト会議に向けては「不安な部分も多いと思うが、プロの世界で活躍するところを想像しながら準備していきたい」と誓った。

5歳上の兄勇樹さんの背中を追い、北海道から宮城へ。体育大である同大では、トレーナーの指示を受けながら豊富なトレーニング機器を使用。入学当初は「細かった」体格は力強さが増し、今春の大学選手権2回戦の東日本国際大(南東北)戦で本塁打を放った。「体が大きくなって筋肉量が増えたことが大きい。苦しいこともあったが、前を向いて、笑顔でやるプレースタイルをできるようになったのは、すごく良かった」と振り返った。

一緒にプレーした先輩にオリックス宇田川優希(24)、ソフトバンク川村友斗(24)らがいる。ドラフト指名を受けた選手を参考にしたい思いもあったが、辻本は「一緒のことをしていたらダメ。自分はこうやろう」と、全国大会や日本代表選考合宿といった大舞台で、いかにアピールできるかを常に考えながら過ごしてきた。

プロに進むことになれば、当然活躍を目指すことになるが、それとは別に大事にしたいことがある。「常に(森本吉謙)監督からは『学生野球の手本であれ』と教わってきた。それを心の芯として持ちながら、誰かの手本になれるように。見ている人が『気持ちいい』と思えるような選手になりたい」。理想のプレーヤーへ-。新たな扉が開かれる、その瞬間を待つ。【相沢孔志】

◆辻本倫太郎(つじもと・りんたろう)2001年(平13)8月11日生まれ、北海道札幌市出身。東札幌小3年から東札幌ジャイアンツで野球を始める。小6時は日本ハムジュニアに選出。日章中では札幌南シニアに所属し、北海と仙台大では主将。同大3、4年は大学日本代表。168センチ、73キロ。右投げ右打ち。50メートル走は6秒0。遠投は105メートル。好きな野球選手はソフトバンク今宮健太。好きな有名人は芳根京子。家族は両親と兄。