ドラフト会議史上、初めての現象に会場は盛り上がった。事前公表が9球団にのぼり重複が2選手のみだった昨年とは対照的に、最初の指名で単独だったのは2選手だけ。抽選回数は外れ、外れ外れを含めると計7度にのぼった。1位指名で7選手が抽選にかかるのは過去最多だった。

盛り上がりを演出したのは、コロナ禍をへて復活した4年ぶりの有観客だった。指名選手が読み上げられ、重複が判明するたびに「おー」とどよめきが起きた。コロナ禍前は、観客は抽選で招待していた。今回、日本野球機構(NPB)は初めて有料席を設置。全席指定、税込み3300円の観覧チケットを抽選販売した。約700席への抽選申し込みは、受け付けが始まると、あっという間に埋まった。NPB関係者は「ありがたいことです」と感謝した。

ドキドキと喜びの瞬間も共有できた。抽選のたび、ひいきチームのくじ引き役に「頼むぞー!」と声援が飛んだ。広島新井監督が青学大・常広を引き当て、豪快なガッツポーズ。直後、会場の観覧席からもガッツポーズするファンがいた。野球好きの熱を受けながら、23年のドラフトは進んだ。【古川真弥】