<日本シリーズ:オリックス0-8阪神>◇第1戦◇28日◇京セラドーム大阪

阪神村上頌樹投手(25)が、“歴史的”1勝を挙げた。交流戦で投げ負けた同学年のオリックス山本との投げ合いで、7回無失点と試合を作った。前年まで0勝の投手が日本シリーズ開幕投手を務めたのは、新人と外国人投手を除けば21年ヤクルト奥川恭伸に次ぎ史上2人目。同条件での白星はプロ野球初の快挙。満点投球でチームを勢いづけた。

 ◇   ◇   ◇

村上は「普通」という言葉を好まない。ブレークした今でこそ、直球が意図せずカット気味に変化する「真っスラ」が代名詞として知られるようになったが、野球を始めた幼少期から「普通じゃない。きれいなストレートを投げなさい」と指導されてきた。今はそれが、唯一無二の武器。だからこそ、使命感がある。

「アマチュアの選手は、せっかくの武器を矯正されてしまう。僕はむしろ、いかに『普通からズレるか』が大切だと思うんです。真っスラだって『普通』の軌道じゃないから打ちにくい。僕が活躍して『普通じゃなくていい』っていうことを証明したい」

個性を伸ばした先にたどり着いた大舞台での1勝だ。「本当は藤川球児さんみたいな、きれいにホップする真っすぐを投げたかった」と言う顔は、少し照れくさそうで、誇らしげだった。【阪神担当 中野椋】

【熱戦!日本シリーズ特集ページ】