岡田マジックさく裂! 阪神岡田彰布監督(65)が日本シリーズ第1戦から仕掛け、難敵のオリックス山本に10安打を浴びせて7得点で攻略した。5回、佐藤輝に初球二盗を指令し、右投手相手に「7番DH」で先発させた右打者の渡辺諒が先制打を決めた。59年ぶりの関西シリーズ初戦で指揮官にとっての日本シリーズ初星をゲット。38年ぶりの同シリーズアウェー星を飾り、38年ぶり日本一へロケットスタートだ。

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関西ダービー白星発進。大歓声を浴びながらベンチから引き揚げてきた岡田監督は「その通りやったやんか」とドヤ顔を見せた。

難敵の山本由伸を10安打7得点で攻略。「みんながすごいすごい言うから。しゃあないから言うただけやんか」。23日の練習後に「そんなええと思てない」と先制“口撃”していた理由を苦笑いで説明した。直球を狙うようナインに指示。山本からの5本の適時打のうち3本は直球をとらえた。3年連続パ・リーグ4冠を宣言通り攻略した。

5回はまさに“岡田マジック”だった。先頭の佐藤輝が中安で出塁すると、続くノイジーの打席の初球フォークに二盗をしかけ、ヘッドスライディングで成功した。指揮官は「まだ試合があるんで言えないですけど」とはぐらかしつつ「(佐藤輝は)初球からいけるから」と今季7盗塁の大砲を走らせた。

ノイジーの右飛で1死三塁とすると、今度はサプライズ起用の「7番DH」渡辺諒が初球の内側に食い込む155キロ速球に詰まりながらも、中前にしぶとく落として先制した。「何か打つと思ったから。打撃(練習)が昨日よかったからな」。右投手の山本を相手に、左の糸原ではなく今季打率1割7分7厘、日本ハム時代の対山本も19年5打数1安打だった「直球破壊王子」にかけ、見事にハマった。近本が右中間へ2点適時三塁打。中野も左前適時打で一挙4得点。6回も8番木浪、9番坂本の連続適時打などで3点を挙げ、山本から衝撃の7得点だ。

終わってみれば13安打の大勝。初回1死一塁から見逃しで三振ゲッツーに倒れ「振らんからや」と激怒した森下も9回の5打席目で初安打を記録した。「3打席目で代えたろうか思った。また泣いたらあかんから。辛抱したよ」。シーズン中、途中交代で悔し泣きしたことを引き合いにチクリと再び苦笑いだ。

05年ロッテに計4-33で4連敗して以来の日本シリーズ。指揮官も緊張感を隠せないのか、練習中は普段のように動き回らなかった。岡田監督にとっては日本シリーズ初勝利。チームも日本一を決めた85年西武との第6戦以来38年ぶりのアウェー1勝だ。CSから無傷の4連勝。短期決戦に弱かったのは、もう過去の話。日本一へ、最高のスタートを切った。【石橋隆雄】

▼阪神が8-0で<1>戦を勝利。05年以来の指揮となった岡田監督は、シリーズ通算5戦目にして監督初勝利を挙げた。阪神の<1>戦勝利は62、85、14年に次いで4度目。敵地の<1>戦で勝利は85年以来で、<1>戦を完封勝ちも85年だけ。球団唯一の日本一となった85年と似たスタートを切ったが、今年はどうか。なお、過去73度のシリーズで先勝チーム(△○を含む)は45度優勝し、V確率は62%。

▼阪神の日本シリーズ完封勝利は、62年東映戦<2>戦5-0、85年西武戦<1>戦3-0以来38年ぶり3度目。過去2度はそれぞれ村山実、池田親興が完投しており、継投でのシリーズ完封勝利は球団初となった。

▼阪神がシリーズで挙げた8得点は、日本一を決めた85年西武戦<6>戦での9得点に次ぎ球団2位。この試合では3失点したため、8点差勝利はシリーズ最大得点差勝利となった。

▼阪神が大阪市内で行われた日本シリーズの試合で勝ったのは、大阪球場での64年南海(現ソフトバンク)戦<5>戦以来、59年ぶり。先発バーンサイドが7回0/3を3失点と粘り、6-3で勝った。

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