西武山川穂高内野手(31)が「WHY?」と言わんばかりに、両手のひらを上に向けて苦笑いした。

3番一塁でスタメン出場したこの日、同点の5回無死満塁。左翼ポール際へ120メートル級の大ファウルを放つと、直後の球もホームラン性。しかし日向灘からの強風に思い切り戻され、左邪飛に。三塁走者の野村が生還した。

「風向きは分からないですけど、もしかしたら、風がなかったら、まっすぐ飛んでポールの上くらい行ったかもしれないですね」

これが決勝点になった。公式戦への出場停止処分は解けていない。ようやく出場を許された若手主体、非公式戦のリーグ戦。若獅子たちをフェニックスリーグ優勝と、宮崎牛20キロゲットに導いた。

「どういう試合でも勝てばうれしいし、打てなかったら悔しいですし。それをもう1度味わえてるのがうれしく思います」

不祥事で約5カ月実戦を離れた上での、この10月だった。5カ月間の空白は「あまり思い出せないところもあるので」と言う。「練習はしてて、練習の中でバッティングのことで試行錯誤できたので。それを5カ月間ちゃんとやってた分、久々の試合でもある程度形になったかなと思います」と振り返る。

7回にも2番長谷川の安打の後、内角球をうまくさばいて左翼線への安打に。チャンスを広げると、一塁を踏んでから代走川野が到着するまで、20秒ほどずっと笑顔。「うまい感じで打てたので。うまく払えたんで」。2試合続けてスタメン出場したため、リーグ最終戦となる30日の広島戦(日南)は出場しない可能性が高い。いい形で締めた。

本人の希望もあり、最初から最後まで戦い抜いた。中軸でスタメン出場した9試合で、打率3割7分5厘、2本塁打、6打点の成績だった。

「ここ最近はずっと良かったですね。OPS(長打率+出塁率)も1・3くらいあると思うので、自分的には指標としていいのかなと思ってます」

1軍定着やレギュラー奪取を目指していく若者たちに、通算218本塁打の力量を示した3週間でもあった。【金子真仁】

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