DeNA育成3位「宇治のゴジラ」京都翔英・小笠原蒼(そう)内野手(18)は、児童絵本シリーズ「給食番長」の主人公・給食番長のぬいぐるみとともに、小学生から憧れた球団でのプロ入りを実現した。「支配下入り」を目標に掲げた高校通算29本塁打の大砲は、「小さい頃から見ていた」というハマの番長・三浦監督へ自慢のフルスイングを見せつけたい。

給食を食べない子どもたちが、仲間と成長を遂げる物語「給食番長」との出会いは小学3年生の頃。母雅代さんは、「見た目もキャラクターも蒼にそっくり」とグッズを集めるようになった。本人は「自分の1つの売りが明るい性格で、(主人公の)やんちゃで明るいキャラは見習っています(笑い)。その方がかわいがってもらえます」と愛嬌(あいきょう)たっぷりに語る。

絵本に出会った当時、ある存在にも心奪われた。5歳上の兄蓮さんと観戦したナゴヤドーム(現バンテリンドーム)でのDeNA戦で、当時在籍したユリ・グリエルや筒香嘉智の力強いフルスイングに魅了され、兄弟そろってベイスターズファンになった。

愛知から京都翔英に進学後、プロ入りを目指す一方で甲子園を目指そうと、地方大会には実家から車を走らせて駆けつけた母のカバンに、給食番長のぬいぐるみを忍ばせていた。そのぬいぐるみは、チームメートの野村哉翔副将の母が作ったという、同校のユニホームを着せて応援した。

甲子園へは、あと1歩で届かなかった最後の夏。ベンチ前で涙を流す仲間に肩を貸し、「顔上げろ~」と励ます堂々とした姿があった。涙をのんでも、給食番長のぬいぐるみは、DeNAのユニホームに変身し、家族と仲間の集まる学校にいた。

ドラフト会議当日、指名の知らせが届いたのは、午後8時30分頃。「最初はフリーズして。友達の喜ぶ声で、名前が呼ばれたことを知った」という。

「待っていた長い時間を忘れないように。1軍の舞台が当たり前にならないように、蒼には育成スタートが合っています。縁があるところで頑張って」。家族はそう願うと、10月28日に実家へ帰った小笠原へ、DeNAグッズで部屋を飾り付けて迎えてくれた。

高校の入寮時に「2年半の修学旅行に行ってくる」と言い残して家を出た。明るい表情を貫き、プロ入りをかなえた希望の星となった。

同作者のよしながこうたく氏は「読者が、すでにプロ野球選手になるなんて、びっくりしています。心からの活躍に期待したい」と祝った。【中島麗】

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