出でよ、本塁打王の表彰選手! 阪神岡田彰布監督(66)が28日、阪神勢の本塁打王復活を待ち望んだ。セ・リーグ最優秀監督賞と正力松太郎賞の受賞でNPBアワードに出席。「選手のおかげで、こういう賞をもらえたと思ってます」と感謝した。ナインを見渡すと、打撃部門では近本が盗塁王、大山が最高出塁率、中野が最多安打の表彰を受けたが、今年も「最多本塁打」は他球団の選手に譲った。「難しいけど」と腕組みしつつ「いつかそら出てくるやろ」と期待せずにはいられなかった。

長らく阪神からホームラン王は出てない。球団では85、86年と2年連続3冠王のバースを最後に、37年間も遠ざかっている。これほど長い間、キングがいないのは阪神だけで12球団で最長を更新している。日本人選手では84年の掛布雅之が最後と寂しい現実が並ぶ。

もちろん日本一広いとされる甲子園、さらに浜風も大きなハンデで、簡単に量産できるものではない。特に91年末の「ラッキーゾーン」撤去後に本塁打が激減。指揮官は「ラッキーゾーンつくったら相手にも(1発)増えるしな」と苦笑いしつつ、阪神ナインが本塁打王を取る方策はあるとにやりと笑った。

「まあタイガースで(本塁打王を)取ろうと思ったら、ビジターで打たなあかんわな、名古屋(バンテリンドーム)以外でな」

東京ドームに加え、比較的狭い横浜スタジアム、マツダスタジアム、神宮球場での量産が狙い目。中でも巨人の本拠地を推奨した。

「そら東京ドームとだいぶちゃうで、甲子園と。打席に立った気分がちゃうやんか。レフト見たら、すぐそこに見えるやんか。(88年に)できた頃は『広い』という感じやったけどな、もうボールも飛ぶしな。それは同じ条件じゃないからな」

期待はやはり、佐藤輝と大山だろう。今季は佐藤輝がチーム最多の24本、大山は19本を放った。佐藤輝は27日に「ホームランが自分の持ち味。そこでトップを取れるようにやっていきたい」とキング宣言するなど意欲的だ。ただし、東京ドームでは今季、それぞれ1本ずつに終わった。岡田監督が薦めるチャンス球場で量産すれば、来季のNPBアワードで阪神38年ぶりの本塁打表彰が見えてくる。【古財稜明】

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