今季MVPと新人王に輝いた阪神村上頌樹投手(25)が26日、地元の兵庫・南あわじ市の「ふるさと応援大使」に就任した。同市出身の元幕内力士で、名前の読み方が同じ照強翔輝(てるつよし・しょうき)に続き2人目の大役。同市からは「スポーツ賞」「特別栄誉賞」も受賞し、故郷に錦を飾った。来季はピンチの“土俵際”でもっと踏ん張るべく、両リーグ6位の得点圏被打率の改善に意欲。2年連続で最優秀防御率を奪取し、沢村賞も目指す。

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虎の村神様が故郷に錦を飾った。ヒーローの凱旋(がいせん)に、人口約4万5000人の南あわじ市が沸き返った。年の瀬の慌ただしい時期だったが、式典会場の市役所の入り口付近に市民らやファンが集結。故郷の温かさに感謝し、野球で地元を盛り上げを続けていくことを誓った。

「野球が仕事なので。そこで頑張れば淡路島の名前も覚えてもらえる。そこで頑張っていきたいです」

同市から「スポーツ賞」、「特別栄誉賞」を受賞。同郷で4学年上の元幕内力士・照強以来2人目の「ふるさと応援大使」にも就任した。今季は防御率1・75で最優秀防御率、新人王、MVPも獲得し、阪神38年ぶりの日本一に大貢献。守本憲弘市長(62)との対談では、来季目標に2年連続の最優秀防御率を掲げた。

「防御率のタイトルを2年連続で取りたい。そこを目指してまた練習していきたいと思っています」

そのために求めていくのは、「しょうき」先輩に負けない“土俵際の強さ”だ。名前の読み方が偶然同じ照強は、19年7月の名古屋場所で12勝3敗の好成績を収め、敢闘賞を受賞した元幕内力士。アスリートとして、応援大使の先輩として、あやかり、学ぶ点は多い。

今季の得点圏被打率は2割9厘。規定投球回到達者ではNPB6位の好成績だが、同1位の同い年右腕で、来季からドジャースでプレーするオリックス山本は1割4分7厘に抑え込んでいる。「無駄な失点もあった。そこをなくしていければ、(防御率は)もっと良くなると思う。ランナーがいる時のコントロールが甘くなる部分もあった。真ん中入らないように、しっかり投げ切りたい」。ピンチの土俵際でもっと踏ん張れば、さらに防御率もアップしてタイトルに近づける。

式典後には、地元の少年野球チームとも交流した。少年野球時代の先輩が「最優秀防御率以外に取りたいタイトルは」と質問。すると笑顔で「1回は沢村賞とか、そういうのを取ってみたい」と回答した。

沢村賞は山本が今季まで3年連続で獲得。海を渡る同学年右腕がつかんだ栄誉も励みに、“来場所”はさらなる高みを目指す。【波部俊之介】

○…この日の村上 地元からの大歓迎を受けた1日となった。各表彰や委嘱状を受け取ると「淡路ビーフ」などの特産品と「ふるさと応援大使」の名刺600枚が手渡された。初めての名刺配りで報道陣にふるさと大使の就任あいさつも行うなど笑顔が絶えなかった。「南あわじ警察署」、「あわじ島農業協同組合」も訪問。最後は地元の少年野球チームとの交流会に参加し、質問会などでふれ合った。

◆南あわじ市 兵庫県・淡路島の南端に位置する市。05年1月11日に三原郡の三原、緑、西淡、南淡の4町が統合して誕生した。鳴門海峡をはさんで徳島県と向かい合う。玉ねぎの生産や、酪農、畜産業などが盛ん。肉牛は「淡路ビーフ」の名で知られる。主な出身者に元阪神鎌田実、タレントの上沼恵美子、元サッカー日本代表の加地亮ら。今年11月末現在の人口は4万4459人。守本憲弘市長。

◆照強翔輝(てるつよし・しょうき)本名・福岡翔輝。1995年(平7)1月17日生まれ、兵庫・南あわじ市出身。三原中学時代に全国16強入りし、伊勢ケ浜部屋入門。しこ名は「周囲を強く明るく照らすように」の願いから。17年初場所新十両、19年春場所新入幕。最高位は前頭三枚目で現在は東幕下三十三枚目。得意は右前みつ、投げ。幕内在位22場所で145勝185敗。169センチ、107キロ。