巨人ドラフト1位の西舘勇陽投手(21=中大)が、剛腕スタートを切った。13日、川崎市・ジャイアンツ球場で新人合同自主トレを開始。最速155キロ右腕はキャッチボールながら重い球質のボールを走らせ、受けた同2位森田駿哉投手(26=ホンダ鈴鹿)は「グラブがそのうち壊れるんじゃないかと思った」と驚嘆。阿部慎之助監督(44)の前で、初日から強烈なインパクトを残した。

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西舘が右足で何度も土を蹴り上げた。阿部監督をはじめ首脳陣がずらりと並ぶグラウンド。スタンドからはファンの視線を浴びた。「人も多かったですし、緊張もありました」。キャッチボールでは高揚感から自然と腕に力がこもった。約30メートル先、同期・森田のグラブ目がけ剛腕を振るった。「まだ、あんまり強く投げられていない」という言葉とは裏腹に、森田を「グラブがそのうち壊れるんじゃないかな。新しいのを用意しないと」とうならせた。

クイックモーションが目を引く。大学2年の冬までは左足を上げるフォームだったが「足を上げると体重移動に入る時の股関節の使い方が下手。それならクイックでシンプルに前に押すだけのフォームの方が良い」と常時クイック投法に活路を見いだした。球速アップに加え、決め球のカットボールやフォークの精度も向上。最速155キロ右腕として、ドラフト1位につなげたフォームから、早くも大器の片りんを見せた。

中大の大先輩・阿部監督の視線と言葉は誰よりも刺さる。室内でのブルペンではシャドーピッチングでタオルを手に、重い風切り音を響かせた。注目の初日を終え「自分がやることに集中できたので、そこは良かった」。いつも通り静かに言葉を並べ汗を拭った。そんな姿に、阿部監督も「すごくしっかりしてる子だなというのが第一印象。(それを)貫き通してやってもらえたら結果も出ると思う」とうなずいた。

プロとして大きな1歩を踏み、想像する未来に表情が緩む。「少しでも早く阿部監督の下で野球がしたい」。目標は開幕1軍。「1日1日できることを逆算しながら行動に移していければ」。そう言って、再び表情を引き締めた。【黒須亮】

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